確かに世界の通貨に影響を与える経済指標・経済ニュースの一つが「米国の利上げ」です。これを事前に予想で十分にトレードに有利になると言っていいでしょう。今回は、「米国の利上げ」を予想するCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchツールを紹介します。
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)とは?
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)とは
を言います。
正式名称は
Chicago Mercantile Exchange = CME
と呼ばれています。
CMEで注目されている指標には「シカゴIMMポジション」などがあります。
CME「FedWatchツール」とは?
CME「FedWatchツール」とは
です。
FOMC(連邦公開市場委員会)とは
を言います。
日本で言えば、日銀が金融政策を決定する「金融政策決定会合」に近いものと考えられます。
FOMC(連邦公開市場委員会)の中で
- 利上げをするか?しないか?
- 国債買い入れをするかしないか?
・・・
など、金融政策が決定される重要な機関と言えます。
CMEには先物取引の商品として「30日フェデラルファンド先物・オプション」というものを用意しています。
「30日フェデラルファンド先物・オプション」の概要
原資産 | 限月について日次のフェドファンドの実効金利の平均値に等しい金利で30日ベースで計算される、1ヶ月間額面500万ドルのフェドファンドに関する金利 |
---|---|
取引単位 | 500万ドル |
価格の表示方法 | 100から限月について日次のフェドファンドの実効金利の平均値を差し引いた数値(例:7.25%金利は92.75に等しい |
最小価格変動幅 | 最期近限月:1ベーシスポイントの1/4 (0.0025)、もしくは1枚あたり10.4175ドル。他のすべての限月:1ベーシスポイントの 1/2(0.005)もしくは1枚あたり20.835ドル |
限月 | 最初の36暦月 |
取引最終日 | 限月の最終営業日。消滅する取引は、最終取引日の午後4時00分(シカゴ中部時間)に終了。 |
最終決済 | 消滅する取引は、限月について日次のフェドファンドの実効金利の平均値で、1ベーシスポイントの 1 /101まで四捨五入した数値に対する差金決済である。最終決済は、最終取引日後の最初の営業日に行われる。日次のフェドファンド実効金利は、ニューヨーク連邦準備銀行によって計算され、報告される。 |
「30日フェデラルファンド先物・オプション」の説明には
30日フェドファンド先物・オプション取引は、米連邦準備制度理事会の金融政策の変更によってもたらされる短期金利の変化に対してヘッジしたい、あるいは投機したいと思っている人にとって重要なリスク管理のツールです。
フェドファンド先物の価格は、所与の暦月について、ニューヨーク連邦準備銀行が計算・報告する日次のフェドファンドの実効金利の平均値に対する市場の意見を反映します。
なぜなら、フェドファンド先物取引は、所与の月について日次のフェドファンドの実効金利に基づいているからです。
となっています。
米国の政策金利 = フェデラル・ファンド金利(Federal funds rate)
つまり、「30日フェデラルファンド先物・オプション」は
ということです。
CME「FedWatchツール」は、
となっています。
重要なポイント
CME「FedWatchツール」は、FOMCにおける政策金利のスパイ活動をして、予想するわけではありません。
あくまでも、「機関投資家を中心とした投資家が政策金利の変動に対して、現在どう考えているのか?」を示す指標であることに注意が必要です。
- CME「FedWatchツール」で次回のFOMCの「利上げ」確率が100%
となっていても、
- 投資家の100%が「利上げ」を予想している
ということであって
- 100%の確率で「利上げ」が実行される
ということではないのです。
CME「FedWatchツール」の見方
左上メニュー
Target Rate
- Current:現在
- Compare:比較
- Probabilities:確率
Historical
- Historical:推移
- Downloads:エクセルダウンロード
- Prior Hikes:過去の利上げ
Dot Plot
- Chart:ドットチャート
- Table:表チャート
Current:現在
Compare:比較
Probabilities:確率
Historical:推移
Chart:ドットチャート
Table:表チャート
上部タブ
FOMC開催日がタブになってきます・
- 1 818 → 2018/8/1
- 26 918 → 2018/9/26
- 8 1118 → 2018/11/8
- 19 1218 → 2018/12/19
- 30 119 → 2019/1/30
「Current:現在」の見方
2018/8/1
左下の「NOW」を見ます。※右の「1 DAY(1日前)」「1 WEEK(1週間前)」「1 MONTH(1カ月前)」を示しています。
FFレート
- 150-175:0.0%
- 175-200:100.0%
- 200-225:0.0%
となっているため、投資家は2018/8/1のFOMCでは「利上げ」は行われず、現在の水準「1.75-2.00%」のままと予想しています。
これは当然で前回の6月13日のFOMCで「利上げ」されたばかりだからです。
さらに先の予想を見てみると
2018/9/26
2018/11/8
2018/12/19
2019/1/30
となっています。
「Probabilities:確率」の見方
- FOMCの開催日:縦軸
- FFレート:横軸
で、投資家の予想確率が表示されています。
この場合は
現在のFFレートが「175-200」ですので
2018/08/01
- 利上げする:0.0%
- 利上げしない:100.0%
2018/09/26
- 利上げする:73.2%
- 利上げしない:26.8%
2018/11/8
- さらに利上げする:3.8%
- 利上げする:70.8%
- 利上げしない:25.4%
というような予想になっています。
CME「FedWatchツール」の活用法
では、CME「FedWatchツール」をどうトレードに活用するのか?
ということですが・・・
投資家のお金は、金利の低い国から、金利の高い国に流れるので通常であれば
となります。
日本円にトピックスがなければ
という形が予想されます。
結局、「市場が利上げを織り込んでいるかいないか?」の方が為替レートに与える影響が大きいのです。
どういうことかというと
元々、世界中の投資家のほとんどが「利上げする」ということを予期していた場合、すでにその「利上げ」に基づいてトレードが行われてしまっているのです。
投資家100%が予想した「利上げ」が、そのまま実行されても、何も変化がないというのが実情なのです。
- 投資家が「利上げ」を織り込んでいない → 「利上げ」実施 → ドル高
- 投資家が「利上げ」を織り込んでいる→ 「利上げ」実施 → 為替変動なし
- 投資家が「利上げ」を織り込んでいる→ 「利上げ」実施せず → ドル安
- 投資家が「利上げ」を織り込んでいない → 「利上げ」実施せず → 為替変動なし
という形になりやすいのです。
CME「FedWatchツール」は、「利上げ」を予想するツールですが・・・
と言った方が正しいものです。
CME「FedWatchツール」の活用法は
投資家の「利上げ」織り込み状況を確認して
- 「利上げ」織り込みに余地がある、かつ自分は「利上げ」を予想している → 「ドル高」のポジションを持つ
- すでに十分に「利上げ」織り込み済み、かつ自分は「利上げ」を予想していない → 「ドル安」のポジションを持つ
という形でポジションを持つトレードをします。
ということが重要なのです。その投資家の「利上げ」織り込み状況を知るツールがCME「FedWatchツール」です。
過去の金利利上げとCME「FedWatchツール」の関係値
2018年6月13日
CME「FedWatchツール」予想
TARGET RANGE (BPS): PROBABILITY
150-175:10.0%
175-200:90.0%
結果
175-200の利上げ決定
発表後30分後の為替変動
米ドル/円
110.428円 → 110.810円
変動幅:+0.382円
2018年5月1日
CME「FedWatchツール」予想
TARGET RANGE (BPS):PROBABILITY
150-175:94.8%
175-200:5.2%
結果
利上げなし
為替変動
米ドル/円
109.851円 → 109.650円
変動幅:-0.201円
2018年3月21日
TARGET RANGE (BPS):PROBABILITY
125-150:4.2%
150-175:95.8%
結果
150-175の利上げ決定
為替変動
米ドル/円
106.176円 → 106.441円
変動幅:+0.265円
となっています。
直近では
- 利上げ実施:「FedWatchツール」余地あり → ドル高
- 利上げなし:「FedWatchツール」利上げ予想した投資家あり → ドル安
と、素直に為替変動が起きています。
まとめ
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)とは
- アメリカのシカゴにある商品先物取引所及び金融先物取引所のこと
を言います。
CMEが提供している「FedWatchツール」とは
- FOMC(連邦公開市場委員会)での政策金利操作に関する確率を分析するツール
です。
ただし、正確に言えば
- FOMC(連邦公開市場委員会)での政策金利操作に関する確率を分析するツール
ではなく、
- FOMC(連邦公開市場委員会)での政策金利操作に関する投資家の織り込み状態を表すツール
と言った方が正しく、この「FedWatchツール」を使えば
投資家がFOMCでの「利上げ」「利下げ」をどのように織り込んでいるのか?がわかるのです。
投資家がFOMCでの「利上げ」「利下げ」をどのように織り込んでいるのか?がわかれば
- 投資家が「利上げ」を織り込んでいない → 「利上げ」実施 → ドル高
- 投資家が「利上げ」を織り込んでいる→ 「利上げ」実施 → 為替変動なし
- 投資家が「利上げ」を織り込んでいる→ 「利上げ」実施せず → ドル安
- 投資家が「利上げ」を織り込んでいない → 「利上げ」実施せず → 為替変動なし
というパターンで、指標トレードをすることができます。
FOMAの発表後30分後の指標を見ると
- 利上げ実施:「FedWatchツール」余地あり → ドル高
- 利上げなし:「FedWatchツール」利上げ予想した投資家あり → ドル安
という結果になっているので、これを参考にすれば、指標トレードの勝率を上げることが可能になります。
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