海外FX業者のほとんどの業者は「MT4」を採用していますが、ECN口座を提供している海外FX業者では「cTrader」を導入している業者もいくつかあります。今回は、「cTrader」の使い方・メリットデメリット・MT4との違い・「cTrader」が使える海外FX業者について解説します。
「cTrader」とは?
「cTrader」とは
を言います。
「cTrader」は、ECN取引を前提に開発されたトレードプラットフォームであり、インターバンク市場への素早いアクセスや板情報の表示、約定しやすいワンクリック取引などが搭載されています。
そのため、海外FX業者でも「ECN口座」を採用している業者が好んで「cTrader」を採用しているのです。
「cTrader」を利用するときのメリットには
- 「cTrader」を利用する前提になる「ECN口座」のメリット
- 「cTrader」のトレードプラットフォームとしてのメリット
があります。
「cTrader」を利用する前提になる「ECN口座」のメリット
メリットその1.約定力が高い
「cTrader」そのものが「約定力が高い」というわけではありませんが、「cTrader」は「ECN取引(電子取引所取引)」を前提にしたトレードプラットフォームですので、リクイディティプロバイダーや他の投資家とプラットフォーム上で注文をマッチングさせるので、当然のように「高い約定力」「高い約定スピード」を備えているのです。
ECN取引の仕組み
メリットその2.スプレッドが狭い
これも「cTrader」そのもののメリットではなく、「ECN口座」のメリットになりますが、「STP口座」よりも狭いスプレッドで提供されています。
「cTrader」を提供している海外FX業者「AXIORY」のスプレッドを見てみると
AXIORYのスプレッド比較
口座 | 通貨ペア | BID (売値) | ASK (買値) | 現在 | 最小 | 最大 | 平均 | ロング | ショート |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
MT4スタンダード口座(STP口座) | USD/JPY | 112.34 | 112.355 | 1.5 | 1.3 | 6.3 | 1.5 | -0.26 | -2.83 |
MT4ナノスプレッド口座(ECN口座) | USD/JPY | 112.343 | 112.348 | 0.5 | 0.1 | 3.3 | 0.4 | -0.26 | -2.83 |
cTraderナノスプレッド口座(ECN口座) | USD/JPY | 112.341 | 112.346 | 0.5 | 0.1 | 3.3 | 0.4 | -0.26 | -2.83 |
平均スプレッドで比較すると
- MT4スタンダード口座(STP口座):1.5pips
- MT4ナノスプレッド口座(ECN口座):0.4pips
- cTraderナノスプレッド口座(ECN口座):0.4pips
取引手数料は
- MT4スタンダード口座(STP口座):無料
- MT4ナノスプレッド口座(ECN口座):往復6ドル/ロット ≒ 0.6pips相当
- cTraderナノスプレッド口座(ECN口座):往復6ドル/ロット ≒ 0.6pips相当
出来上がりのトレードコストで比較すると
- MT4スタンダード口座(STP口座):1.5pips
- MT4ナノスプレッド口座(ECN口座):0.4pips + 取引手数料:0.6pips = 1.0pips
- cTraderナノスプレッド口座(ECN口座):0.4pips + 取引手数料:0.6pips = 1.0pips
メリットその3.約定拒否がない
ECN取引は「電子取引所取引」、日本で言えば株式投資で採用されている取引方法となります。
- 買い手の注文
- 売り手の注文
の価格が折り合ったところで約定するのです。
メリットその4.取引制限がない
ECN取引では、FX業者が注文を呑むわけではありません。
- スキャルピングをしようが
- 両建てをしようが
FX業者に痛手はないのです。
FX業者は、取引手数料分の収入が見込めるので、どんどん取引をしてほしいということになります。
「cTrader」のトレードプラットフォームとしてのメリット
メリットその1.板情報(Depth of Market)が見れる
「cTrader」の大きなメリットとして
板情報(Depth of Market)が見れる
というものがあります。
「cTrader」の板情報には
スタンダードな板情報(Standard DoM)
出来高加重平均価格の板情報(VWAP DoM)
価格別の板情報(Price DoM)
の3種類があります。
通貨ペアをクリックすると板情報が見れる新規ウィンドウが立ち上がります。
板情報(Depth of Market)を見れることで
- どの価格帯の注文が入っているのか?
- 他の投資家はどちらに傾いているのか?
- 大きなロットで注文したときにどのくらいの価格で約定が見込めるのか?
がわかることになります。
メリットその2.あらゆる場所でのワンクリック注文に対応
「cTrader」では、いろいろな場所からワンクリック注文が可能です。
- ウォッチリストからでも
- チャート画面からでも
- 板情報からでも
・・・
どこからでも、ワンクリック注文が可能になります。
また、注文の方法を
- ワンクリックで注文
- ダブルクリックで注文
- 無効
にすることもできるので、トレードスタイルによって注文方法を変えられるメリットがあります。
メリットその3.一括決済に対応
「cTrader」では、
- 全ポジション一括決済
- 通貨ペア別ポジション一括決済
という一括決済が可能になります。
「MT4」の場合は、一括決済機能は標準搭載されておらず、一括決済できるスクリプトを導入したとしても、機能としては一つずつ順番に決済していることになるので、わずかではありますが「タイムラグ」が発生してしまうのです。
また、ポジションの右側に
- 途転注文:ポジションを瞬時に逆転させる注文
- ダブルアップ注文:現在のポジションと同じ量の注文
をワンクリックで実現できるボタンも用意されています。
メリットその4.分割決済に対応
「cTrader」では
- 保有ポジションの一部だけを決済する
という「分割決済」が可能になっています。「建玉変更」で、一部だけ決済をすることができるのです。
一つのポジションの中で
- 半分だけを利確いて、残りの半分はより利益の拡大を狙う
というようなトレード手法が可能になっています。
メリットその5.日本時間に簡単に変更できる
MT4の場合は、インジケーターを導入しなければ、日本時間には直せません。海外FX業者のサーバーがある時間に設定されてしまうのです。
「cTrader」では簡単に日本時間に変更することができます。
JST 日本標準時 UTC+0900
ですので
- UTC+0900
を選ぶだけです。
パソコンの時間表示とチャートの時間表示が同じになったことがわかるかと思います。
メリットその6.チャートへの図形の挿入がしやすい
「cTrader」では、右にチャートへ図形を挿入するアイコンが表示されています。
- トレンドライン
- 水平線
- 長方形
- フィボナッチ
・・・
など、が表示できます。
また、「MT4」では、なかなか引いた図形を選択することができず、もどかしい思いをすることもあると思いますが、「cTrader」では、選択の許容範囲が広いので、簡単に図形を削除したり、変更することができます。
メリットその7.時間足が多い
「cTrader」では
- 1分足
- 2分足
- 3分足
- 4分足
- 5分足
- 6分足
- 7分足
- 8分足
- 9分足
- 10分足
- 15分足
- 20分足
- 30分足
- 45分足
- 1時間足
- 2時間足
- 3時間足
- 4時間足
- 5時間足
- 6時間足
- 8時間足
- 12時間足
- 日足
- 2日足
- 3日足
- 週足
- 月足
と26種類の時間足が標準搭載されています。
「MT4」では「MT5」でやっと19種類になった程度です。
「cTrader」のトレードプラットフォームとしてのデメリット
デメリットその1.自動売買の選択肢が少なく、使いにくい
「MT4/MT5(メタトレーダー)」では
- 自動売買プログラム「EA(エキスパート・アドバイザー)」
を導入する形で自動売買が行えます。
「cTrader」では
- cAlgoで開発した自動売買プログラム「cBot」
を導入する形で自動売買が行えます。
「cTrader」の公式サイトから、自動売買プログラム「cBot」をダウンロードすることができます。
150個程度しかありません。
「MT4/MT5(メタトレーダー)」の場合は
MT4のEAだけでも、公式サイトで3000個以上あるのです。
非公開のものも含めれば、優に数十万個以上はあると考えられます。
「MT4/MT5(メタトレーダー)」を利用する投資家の方が「cTrader」を利用する投資家よりも、圧倒的に多いので、当然のように「自動売買プログラム」の数も、「MT4/MT5(メタトレーダー)」の方が圧倒しているのです。
また、「MT4/MT5(メタトレーダー)」であれば、日本語で「EAの使い方」「自動売買の仕方」を解説したサイトも多くありますが、「cTrader」に関しては、「自動売買の仕方」について解説した日本語サイトは、皆無と言っていいぐらい少ないのです。
「MT4/MT5(メタトレーダー)」の自動売買プログラム「EA」 → 「cTrader」の自動売買プログラム「cBot」
に変換するツールも提供されていますが、完全に変換できるわけではないので、プログラミングの知識がない方にとっては、かなりハードルが高いのです。
デメリットその2.インジケーターの選択肢が少ない
自動売買と同じですが
「MT4/MT5(メタトレーダー)」のインジケーターの数は、数十万単位で世界中で配布されています。
しかし、「cTrader」のインジケーターの数は
公式サイトで500個ほどしかありません。
「cTrader」では、標準搭載しているテクニカル分析指標が
- トレンド:10個
- オシレーター:20個
- ボラリティ:11個
- 出来高:10個
- その他:8個
デメリットその3.採用している海外FX業者が少ない
「MT4/MT5(メタトレーダー)」は、海外FX業者の99%が採用していると言っていいでしょう。
しかし、「cTrader」が使える海外FX業者は、世界で20社ほどしかありません。
その中で、日本人向けにサービス提供しているのは、主に下記の海外FX業者しかないのです。
「cTrader」が使える海外FX業者
AXIORY
FxPro
TRADEVIEW
海外FX業者の選択肢が少ないことも、「cTrader」のデメリットと言えます。
「cTrader」を使うべき投資家とは?
前述した通りで「cTrader」のメリットは
- 高い約定力で、大口の注文でも確実に約定する
- ワンクリック注文で、一瞬を逃さずに注文する
- 複数のポジションの一括決済
- 板情報を利用した投資家が可能
かつECN口座のメリットとして
- スプレッドが狭い
- 約定拒否がない
- 取引制限がない
点が挙げられます。
一方で、「cTrader」のデメリットは
- 自動売買の選択肢が少ない
- インジケーターの選択肢が少ない
- 採用している海外FX業者が少ない
点が挙げられます。
これらの情報を勘案すると
「cTrader」を使うべき投資家
- 大口投資家
- 約定力を重視する投資家
- 裁量トレードをする投資家
- 板情報を有効に活用できる投資家
「cTrader」を使うべきではない投資家
- 初心者投資家
- 小口投資家
- 自動売買を利用する投資家
- 板情報の使い方がわからない投資家
となるのです。
まとめ
「cTrader」とは
- 英国企業のSpotware Systems Ltdが開発したトレードプラットフォームのこと
を言います。
「cTrader」は、ECN取引を前提に開発されたトレードプラットフォームです。
「cTrader」を利用する前提になる「ECN口座」のメリットには
- メリットその1.約定力が高い
- メリットその2.スプレッドが狭い
- メリットその3.約定拒否がない
- メリットその4.取引制限がない
「cTrader」のトレードプラットフォームとしてのメリットには
- メリットその1.板情報(Depth of Market)が見れる
- メリットその2.あらゆる場所でのワンクリック注文に対応
- メリットその3.一括決済に対応
- メリットその4.分割決済に対応
- メリットその5.日本時間に簡単に変更できる
- メリットその6.チャートへの図形の挿入がしやすい
- メリットその7.時間足が多い
「cTrader」のトレードプラットフォームとしてのデメリットには
- デメリットその1.自動売買の選択肢が少なく、使いにくい
- デメリットその2.インジケーターの選択肢が少ない
- デメリットその3.採用している海外FX業者が少ない
というものがあります。
「cTrader」は、上級者向けにECN口座前提で開発されたトレードプラットフォームです。そのため、向き不向きがあるのです。
「cTrader」を使うべき投資家
- 大口投資家
- 約定力を重視する投資家
- 裁量トレードをする投資家
- 板情報を有効に活用できる投資家
「cTrader」を使うべきではない投資家
- 初心者投資家
- 小口投資家
- 自動売買を利用する投資家
- 板情報の使い方がわからない投資家
「cTrader」は、上記に当てはまる上級者の投資におすすめできるトレードプラットフォームです。
「cTrader」以外のおすすめの海外FXツールはこちら
「cTraderとMT4はどこが違いますか?」
「cTraderのメリットデメリットを教えてください。」
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