海外FXは、ハイレバレッジトレードができる、追証がない・・・という様々なメリットがある反面、税金面では「総合課税」になってしまうため、高額な利益を上げられる投資家にとっては「税金負担が重い」ということに直結してしまいます。今回は、海外FXの税金を合法的に0円にするタックスヘイブン活用法について解説します。
海外FXと国内FXの税金のおさらい
国内FX業者で儲けたお金
源泉分離課税制度
他の所得と区分して「先物取引にかかわる雑所得等」として課税される制度が適用されます。
2023年税率
海外FX業者で儲けたお金
総合課税制度
給与所得、不動産所得、譲渡所得、一時所得、配当所得、利子所得、雑所得などと一緒に合算して、雑所得として課税される制度が適用されます。
税率
所得税の税率/2023年
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
復興特別所得税/2023年
所得税額 × 2.1%
住民税の税率/2023年
市区町村民税 | 課税される所得金額×6% | 均等割り(自治体ごとに違う) |
都道府県民税 | 課税される所得金額×4% | 均等割り(自治体ごとに違う) |
海外FXと国内FXの税金の比較
控除などを除外して、ざっくり計算してしまうと
課税所得500万円のサラリーマンが、年間1000万円分の利益をFXで挙げた場合
国内FXの税金
1,000万円 × 20.315% = 2,031,500円
税金:2,031,500円
海外FXの税金
所得合計 = 500万円 + 1000万円 = 1500万円
総合課税全体の所得税 = 1500万円 × 33% - 1,536,000円(控除額) = 3,414,000円
総合課税全体の復興特別所得税 = 3,414,000円 × 2.1% = 71,694円
総合課税全体の住民税 = 1500万円 × 10% = 1,500,000円
合計:4,985,694円
500万円分の給与所得の所得税 = 500万円 × 20% - 427,500円(控除額) = 572,500円
500万円分の給与所得復興特別所得税 = 572,500円 × 2.1% = 12,023円
総合課税全体の住民税 = 500万円 × 10% = 500,000円
合計:1,084,523円
海外FXの税金 = 4,985,694円 - 1,084,523円 = 3,901,171円
つまり、控除などを外した概算ですが
国内FX:2,031,500円
海外FX:3,901,171円
と、約2倍もの税金の差が発生してしまうのです。
海外FXの収入は、そもそも確定申告しなくても、黙っておけばバレないのでは?
これは「節税」ではなく、「脱税」になってしまいます。
近年は世界的に租税回避行為を各国が連携して防ぐ仕組みが整いつつあります。
例えば「CRS = Common Reporting Standard(共通報告基準)」というものがあります。
CRS = Common Reporting Standard(共通報告基準)とは
を言います。
これに加盟した国の金融機関は、その国に居住していない海外居住者(非居住者)の口座情報について、一定の様式に沿って管理し、定期的にその国の税務当局に報告する義務が発生します。
- 口座保有者の氏名
- 住所
- 納税者番号
- 口座残高
- 利子・配当等
各国の税務当局、同士はこの情報を交換し合う仕組みになっています。
2017年:CRS加盟国
アングィラ、アルゼンチン、バルバドス、バミューダ諸島、ベルギー、英領ヴァージン諸島、ブルガリア、ケイマン諸島、コロンビア、クロアチア、キュラソー島、キプロス、チェコ、デンマーク、ドミニカ、エストニア、フェロー諸島、フィンランド、フランス、ドイツ、ジブラルタル、ギリシャ、グリーンランド、ガーンジー、ハンガリー、アイスランド、インド、アイルランド、マン島、イタリア、ジャージー島、韓国、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、メキシコ、モンセラト島、オランダ、ニウエ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サンマリノ、セーシェル、スロバキア共和国、スロヴェニア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、トリニダード・トバゴ、タークス・カイコス諸島、英国の55の国・地域
2018年:CRS加盟国
アルバニア、アンドラ、アンチグアバーブーダ、アルーバ、オーストラリア、オーストリア、バハマ、バーレーン、ベリーズ、ブラジル、ブルネイ・ダルサラーム、カナダ、チリ、中国、クック諸島、コスタリカ、ガーナ、グレナダ、香港、インドネシア、イスラエル、日本、クウェート、レバノン、マーシャル諸島、マカオ、マレーシア、モーリシャス、モナコ、ナウル、ニュージーランド、パナマ、カタール、ロシア、セントキッツ・ネイビス連邦、サモア、セントルシア、セントヴィンセント・グレナディーン、サウジアラビア、シンガポール、シント・マールテン、スイス、トルコ、アラブ首長国連邦、ウルグアイ、バヌアツの46の国・地域
つまり、
ことになります。
実際にXMでは
共通報告様式(CRS)
共通報告様式(Common Reporting Standard:CRS)に準拠するべく、XMは取引口座を保有しているすべてのお客様から追加情報をいただく必要がございます。
以下のフォームに必要な情報を入力してください。
納税者番号をお持ちですか(TIN)?
という画面が表示されていました。
納税者番号(TIN)は、日本人の場合はマイナンバーのことです。
XMの口座の情報は、日本の税務署にも筒抜けである
ということになります。
ことになります。
海外FXの税金を合法的に0円にするタックスヘイブン活用法
タックスヘイブンとは?
国内経済を支える基幹産業に乏しい国が海外の企業に対して税制上の優遇措置を設けることで、富裕層の移住や企業の進出による雇用・手数料収入の増加を見込むものです。
タックスヘイヴンの国
- アンドラ/Andorra
- アンギラ/Anguilla(英国領)
- アンティグア・バーブーダ/Antigua and Barbuda
- アルバ/Aruba(オランダ領)
- バハマ/Bahamas
- バーレーン/Bahrain
- ベリーズ/Belize
- バミューダ諸島/Bermuda(英国領)
- イギリス領ヴァージン諸島/British Virgin Islands
- ケイマン諸島/Cayman Islands(英国領)
- クック諸島/Cook Islands
- ドミニカ/Dominica
- ジブラルタル/Gibraltar(英国領)
- グレナダ/Grenada
- リベリア/Liberia
- リヒテンシュタイン/Liechtenstein
- マーシャル諸島/Marshall Islands
- モナコ/Monaco
- モントセラト/Montserrat(英国領)
- ナウル/Nauru
- オランダ領アンティル/Netherlands’ Antilles
- ニウエ/Niue
- パナマ/Panama
- セントクリストファー・ネイビス/St. Kitts and Nevis
- セントルシア/St. Lucia
- セントビンセント・グレナディーン/St. Vincent & Grenadines
- サモア/Samoa
- サンマリノ/San Marino
- タークス・カイコス諸島/Turks and Caicos Islands(英国領)
- バヌアツ/Vanuatu
「イギリス領ヴァージン諸島/British Virgin Islands」「バヌアツ/Vanuatu」「セントビンセント・グレナディーン/St. Vincent & Grenadines」「ケイマン諸島/Cayman Islands(英国領)」などは、海外FX業者の本社の所在地になっていることも多いので聞き馴染みがあるかもしれません。
海外FX業者も「金融ライセンスの問題」と「税金面のメリット」を考えて、タックスヘイヴンに本社を移しているのです。
となりますが・・・
以前までは、これで税金0円は実現できました。
しかし、現在はこれだけではできません。「タックスヘイブン対策税制」が昭和53年に施行されてしまっているのです。
タックスヘイブン対策税制とは
を言います。
つまり、
ということになります。
ことになります。
結局、これでは全く「節税」はできていないのです。
「一定の適用除外の場合を除いて」という文言に注目します。
タックスヘイブン対策税制の適用対象となる判定基準は
- 直接および間接に保有する外国法人の株式等の数または出資の合計額の割合が10%以上であるもの
- 外国法人のうち、内国法人が直接および間接に保有する株式等の数または出資の合計額の割合が50%を超えるもの
の大きく2点があります。
もう少し噛み砕いて言えば
直接および間接に保有する外国法人の株式等の数または出資の合計額の割合が10%以上であるもの
→ タックスヘイブン法人の株式の出資割合が10%未満であれば、タックスヘイブン税制は対象外になる
ということを意味しています。
例えば、海外FXで儲けている投資家が11人集まって、9%ずつ株式を保有して、タックスヘイブンに法人を設立し、各株主が個人の収益に応じて分配される形で、タックスヘイブン法人を運用すれば、税金は合法的に0円になるのです。
外国法人のうち、内国法人が直接および間接に保有する株式等の数または出資の合計額の割合が50%を超えるもの
→ タックスヘイブン法人の株式の出資割合の50%超を日本非居住の方が持っていれば、タックスヘイブン税制は対象外になる
ということを意味しています。
例えば、外国に居住しているご家族が51%の株式を保有し、日本に居住する投資家が49%の株式を保有し、タックスヘイブンに法人を設立すれば、タックスヘイブン税制は対象外になるのです。税金は合法的に0円になります。
※ご家族が居住している国の税制も絡んでくるので注意が必要です。
ということになります。
外国子会社配当益金不算入制度を使う方法
日本には「外国子会社配当益金不算入制度」というものがあります。
外国子会社配当益金不算入制度とは?
を言います。
制度の概要
- 日本親会社が外国子会社から受ける配当は、その配当(源泉税控除前)の95%が益金不算入とされる。
- 外国子会社配当益金不算入制度の適用対象となる配当に係る源泉税については、外国税額控除の対象外となり、損金にも算入されない。
これも噛み砕いて言えば
タックスヘイブンに子会社を設立します。
タックスヘイブンの会社で儲けたお金を配当として、日本の会社の売上にすれば、その95%は「益金不算入」、つまり課税対象から外れるということになります。
海外FXの税金を合法的に0円にするタックスヘイブン活用法には
- 投資家仲間を11人集めて持ち株比率10%未満のタックスヘイブン法人を設立する方法
- 信頼できる日本の非居住者の持ち株比率50%超にしてタックスヘイブン法人を設立する方法
- 日本法人を設立し、子会社としてタックスヘイブン法人を設立して、配当を受け取る方法
の3つがあります。
このほかには
- タックスヘイブンには、会計報告を義務付けていない国も多いため、いろんな経費を作って利益そのものを出さないという選択肢もあります。(ただし、これは脱税行為になってしまうため、おすすめはしません。)
このようにタックヘイブン法人を活用すれば、海外FXの税金を合法的に0円にすることができます。
ただし、タックスヘイブン関連の税制、国際的な税制の取り組みは常に変化しています。
「海外の税金を脱税はしたくないけれども、税金を抑える方法はないの?」
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