と思っている投資家の方も少なくありません。確かに通常の総合課税が適用されてしまう海外FXでは、税金の負担額が大きいというのは間違えありません。今回は、海外FXの税金を節税する裏技について解説します。
目次
「国内FX」と「海外FX」の税金の違い
「海外FX」の税金
所得税の税率/2022年
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
復興特別所得税/2022年
所得税額 × 2.1%
住民税の税率/2022年
市区町村民税 | 課税される所得金額×6% | 均等割り(自治体ごとに違う) |
都道府県民税 | 課税される所得金額×4% | 均等割り(自治体ごとに違う) |
「国内FX」の税金
所得税の税率/2022年
15%
住民税の税率/2022年
5%
合計:20%
その他
- 3年間の繰越控除
- 他の金融商品との損益通算
このように税金面だけで見れば「国内FX」の方が「海外FX」よりも何倍も優遇されているのです。
海外FXの税金は「ECN口座の外付け手数料」で節税できる!
海外FX業者に支払うコストには3種類ある
- インターバンクの配信プライスの「Bid/Ask」の価格差(スプレッド)
- 海外FX業者がインターバンクの配信プラスにマークアップ(上乗せ)するコスト
- 海外FX業者の外付け手数料
の3つです。
一般的に
STP口座
インターバンクの配信プライスの「Bid/Ask」の価格差(スプレッド)
+
海外FX業者がスプレッドにマークアップ(上乗せ)するコスト
ECN口座
インターバンクの配信プライスの「Bid/Ask」の価格差(スプレッド)+
+
海外FX業者の外付け手数料
という形で、投資家はコストを支払うことになります。
これと「税金」が何が関係あるのかというと・・・
投資家がFX業者に支払うコストの中で
- スプレッドは「経費」にならない
- 海外FX業者がスプレッドにマークアップ(上乗せ)するコストは「経費」にならない
- 海外FX業者の外付け手数料は「経費」になる
ということです。
スプレッドが「経費」にならない理由
1万通貨分米ドル/円:1ドル=100円のロングでポジションを持つ
= 1万ドルを100万円で購入する
ということを意味します。
米ドル/円:1ドル=101円でエグジットする
= 1万ドルを101万円で売却する
1万円の儲け
となります。
「スプレッド」は、「買い」と「売り」の価格差です。
収支計算をするときには購入価格、売却価格の差額で計算するのですから、スプレッドははじめから収支の計算に含まれているため、スプレッドを経費として計上してしまったら「2重計上」になってしまうのです。
海外FX業者がスプレッドにマークアップ(上乗せ)するコストが「経費」にならない理由
購入価格に含まれてしまっているからです。
投資家は
を知ることができません。
「外付け手数料」が「経費」になる理由
しかし、「外付け手数料」であれば
- 「FXの経費」=「売上を上げるために直接要した費用」であること
- 明確にいくらかわかる
ため、「経費」として計上できるのです。
しかも、
実際に同じ海外FX業者が「STP口座」と「ECN口座」を提供している事例を実際にトレードしたスプレッドとともに表示すると
計測データ
1年間リアル口座で計測したXM(エックスエム)のスプレッド
米ドル/円の平均スプレッド
- STP口座:2.06pips
- ECN口座:1.04pips(取引手数料:片道5ドル)
ECN口座の取引手数料は「1ドル=0.1pips」に換算できるので
- ECN口座の出来上がりコスト:1.04pips + 0.5pips × 2(往復) = 2.04pips
1年間リアル口座で計測したAXIORYのスプレッド
米ドル/円の平均スプレッド
- STP口座:1.67pips
- ECN口座:0.62pips(取引手数料:片道3ドル)
ECN口座の取引手数料は「1ドル=0.1pips」に換算できるので
- ECN口座の出来上がりコスト:0.62pips + 0.3pips × 2(往復) = 1.22pips
となります。
支払うコストで見ると
となるのです。
支払うコストは、ほぼ変わらないか?ECN口座の方が安くなるのです。
- ECN口座を利用すればトレードコストは同じか?安くなる
- 外付け手数料分は「経費」として計上できて、節税につながる
のですから、
では、どのくらい節税につながるかシミュレーションしてみます。
外付け手数料の「ECN口座」にした場合の節税メリット試算
シミュレーションでは簡易的に節税メリットを計算しています。
しっかり、計算したい方はこちらの手順で計算しましょう。
XMを例にとれば
- STP口座:2.06pips
- ECN口座:1.04pips(取引手数料:片道5ドル)
ですから、
STP口座で発生していたスプレッドの1.0pips分が取引手数料に変わるので、その分が経費になるということです。
XMではトレードコストに若干の違いはありますが、わかりやすくするため、「STP口座でも、ECN口座でも、トレードコストは同じ(収益は同じ)」として計算します。
外付け手数料の「ECN口座」にした場合の節税メリット試算
外付け手数料なしのSTP口座の場合
1回のトレード収益平均:30pips
1日のトレード回数:2回
1回のトレードの取引量:1万通貨
1日の収益 = 60pips = 6,000円
1カ月の収益(20日換算) = 1,200pips = 120,000円
1年間の収益 = 14,400pips = 1,440,000円
経費:0円
外付け手数料ありのECN口座の場合
外付け手数料:片道5ドル/1ロット(10万通貨) ※XMと同じ
1回のトレード収益平均:30pips
1日のトレード回数:2回
1回のトレードの取引量:1万通貨
1回のトレードの外付け手数料 = 片道0.5ドル × 2(往復) = 1ドル
1日のトレードの外付け手数料 = 1ドル× 2 = 2ドル
1カ月のトレードの外付け手数料 = 2ドル × 20日 = 40ドル
1年間のトレードの外付け手数料 = 40ドル × 12か月 = 480ドル
1日の収益 = 60pips = 6,000円
1カ月の収益(20日換算) = 1,200pips = 120,000円
1年間の収益 = 14,400pips = 1,440,000円
経費:480ドル(1ドル=100円の場合、48,000円)
この方の年収が600万円だった場合、FXの収益分144万円を加えると
所得税率:23%
住民税率:10%
合計:33%
※簡易的に計算しているため、復興特別所得税は除いて計算しています。
約15,840円程度税金が安くなることになります。
という方もいるかもしれませんが・・・
節税メリット簡易計算
1回の トレード 収益 |
外付け 手数料 (ロット) |
1日の トレード 回数 |
経費 | 収支 | 給与所得 | 合計所得 | 税率 | 節税 メリット |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
30pips | 5ドル | 1回 | 24,000円 | 720,000円 | 6,000,000円 | 6,720,000円 | 30% | 7,200円 |
30pips | 5ドル | 2回 | 48,000円 | 1,440,000円 | 6,000,000円 | 7,440,000円 | 33% | 15,840円 |
30pips | 5ドル | 3回 | 72,000円 | 2,160,000円 | 6,000,000円 | 8,160,000円 | 33% | 23,760円 |
30pips | 5ドル | 4回 | 96,000円 | 2,880,000円 | 6,000,000円 | 8,880,000円 | 33% | 31,680円 |
30pips | 5ドル | 5回 | 120,000円 | 3,600,000円 | 6,000,000円 | 9,600,000円 | 43% | 51,600円 |
30pips | 5ドル | 10回 | 240,000円 | 7,200,000円 | 6,000,000円 | 13,200,000円 | 43% | 103,200円 |
40pips | 5ドル | 1回 | 24,000円 | 960,000円 | 6,000,000円 | 6,960,000円 | 33% | 7,920円 |
40pips | 5ドル | 2回 | 48,000円 | 1,920,000円 | 6,000,000円 | 7,920,000円 | 33% | 15,840円 |
40pips | 5ドル | 3回 | 72,000円 | 2,880,000円 | 6,000,000円 | 8,880,000円 | 33% | 23,760円 |
40pips | 5ドル | 4回 | 96,000円 | 3,840,000円 | 6,000,000円 | 9,840,000円 | 43% | 41,280円 |
40pips | 5ドル | 5回 | 120,000円 | 4,800,000円 | 6,000,000円 | 10,800,000円 | 43% | 51,600円 |
40pips | 5ドル | 10回 | 240,000円 | 9,600,000円 | 6,000,000円 | 15,600,000円 | 43% | 103,200円 |
50pips | 5ドル | 1回 | 24,000円 | 1,200,000円 | 6,000,000円 | 7,200,000円 | 33% | 7,920円 |
50pips | 5ドル | 2回 | 48,000円 | 2,400,000円 | 6,000,000円 | 8,400,000円 | 33% | 15,840円 |
50pips | 5ドル | 3回 | 72,000円 | 3,600,000円 | 6,000,000円 | 9,600,000円 | 43% | 30,960円 |
50pips | 5ドル | 4回 | 96,000円 | 4,800,000円 | 6,000,000円 | 10,800,000円 | 43% | 41,280円 |
50pips | 5ドル | 5回 | 120,000円 | 6,000,000円 | 6,000,000円 | 12,000,000円 | 43% | 51,600円 |
50pips | 5ドル | 10回 | 240,000円 | 12,000,000円 | 6,000,000円 | 18,000,000円 | 43% | 103,200円 |
※「復興特別所得税」「各種控除」などは考慮しておりません。
- トレード回数が多い方
- FXの儲けが高額になる方
の場合は、年間10万円以上の節税につながるのです。
しかも、そもそも
ECN口座の方がトレードコストが安いのです。
「節税メリット」と「トレードコストの安さ」を加味すれば
「STP口座」から「ECN口座」へ切り替える
というのも、十分に現実的な選択肢になるのです。
- 取引回数の多い方
- 海外FXの収益が大きい方
におすすめのコスト削減方法と言えます。
まとめ
海外FXに限った話ではありませんが
投資家がFX業者に支払うコストは
- スプレッドは「経費」にならない
- FX業者がスプレッドにマークアップ(上乗せ)するコストは「経費」にならない
- FX業者の外付け手数料は「経費」になる
という税務上の違いがあります。
日本国内のFX業者には、外付け手数料の業者がほとんどありません。呑み取引のDD取引を採用しているためです。
しかし、海外FX業者であれば
- 「外付け手数料」を採用することが多いECN口座が利用できる
- STP口座の中にも一部「外付け手数料」の口座あり
という状況ですから、外付け手数料の口座に切り替えることで「節税メリット」が得られるのです。
同じ海外FX業者であっても
- トレードコストは「ECN口座」の方が「STP口座」よりも安い
傾向があるため、実際のコスト削減も、節税効果と同時に得ることができます。少額投資の個人投資家にとっては、大きなメリットにならないかもしれませんが、ある程度のトレード回数がある、儲けが高額になる大口投資家にはお勧めの方法です。