と考える投資家の方も多いかと思います。
海外FX業者の魅力は「日本のレバレッジ制限(レバレッジ規制)にとらわれないハイレバレッジトレードができること」ですが、その反面「日本の法律で守られていない不安感」とメリットデメリットは背中合わせなのです。
今回は「海外FX業者の安全性」という視点で海外FX業者を評価していきます。
海外FX業者の安全性評価の前に理解しておきたいポイント
海外FX業者の金融ライセンスの重要性
金融ライセンスとは
を言います。
日本の場合
FX業者は財務局の登録をして
- 第一種金融商品取引業者
- 第二種金融商品取引業者
などの「金融商品取引業者」の登録をしなければ、FX業者として営業ができません。
- 登録番号:関東財務局長(金商)第○○号
というように国内FX業者はウェブサイトのフッター部分に記載されているはずです。
この登録があるからこそ、日本の金融監督庁である「金融庁」は
- レバレッジ規制
- 信託保全の義務化
などの金融商品取引法に伴った規制を取り締まれることができるのです。
定期的な監査(チェック)で、違反が発覚した場合は、営業許可が取り消されてしまうからです。
投資家にとっては、国内FX業者を選ぶときに「金融ライセンス」がある業者を選べば「金融庁の監査をクリアしている」という保証があるため、最低限の安心感は得られる仕組みとなっています。
日本法人を作っていない海外FX業者の場合、金融庁(財務局)の登録はしていません。
だからこそ
というメリットがある反面
日本の金融庁の監督下になり = サービスレベルを金融庁が保証することができない
というデメリットも出てくるのです。
金融監督庁というのは、日本だけのものではありません。
- 英国 → 金融行動庁(FCA)
- ドイツ → 連邦金融監督庁(BaFin)
- フランス → 金融市場庁(AMF)
その他の金融監督庁はこちら
例:ニュージーランド金融市場庁(FMA)の登録基準
- 100万ドル以上もしくは平均収益の10%以上の正味固定資産
- コンプライアンス、規制、リスク管理を担当するマネージメントチーム
- 新規顧客に対する適切な基準
- リスクやディーリングポリシーに関する情報
- ヘッジ内部リスクの基準と顧客の証拠金レベルの取扱い
- 顧客資金の分別ルールと顧客口座情報の適切な記録保持
つまり、
ことになります。
海外FX業者に対する金融庁の圧力は増す一方
上記の通りで
だったのですが・・・
年々、金融庁が各国の金融監督庁に
と、圧力をかけるようになっています。
なぜかというと
です。
日本国内のFX業者にしてみれば
と面白くないのは当たり前です。
結果として
世界展開している海外FX業者は
- 日本以外の国:本社がある国の金融ライセンスでサービス提供
- 日本在住の日本人:金融庁の圧力が及ばない国に立ち上げた子会社でサービス提供
と切り分けて、動いているのです。
厳密に言えば、日本在住の日本人向けにサービス提供している法人というのは、新設法人であり金融ライセンスがないケースも多く信頼性は低いのですが、FXサービスの管理、サポート、システム、資金管理などは本社で行っています。
サービス提供の実務をしている本社は、金融ライセンスを保有しているのですから
上記のケースでは「金融ライセンスを保有しているのと近しいもの」として考えるべきなのです。
これも踏まえて、海外FX業者の安全性の比較検討をしましょう。
海外FX業者の安全性を評価する指標
安全性の評価では
- 金融ライセンスの有無
- 信託保全の有無、内容
- 企業規模(従業員数・顧客数・展開している国の数など)
- 日本人顧客へのサービス提供の年数・日本人スタッフの有無
の4つの視点で評価したいと思います。
1.金融ライセンスの有無
前述した通りで
本社のある国の金融監督庁の認可である「金融ライセンス」を保有していれば
- 資産額
- 自己資本比率
- コンプライアンス、規制、リスク管理を担当する体制
- 新規顧客に対する適切な基準
- リスクやディーリングポリシーに関する情報
- 内部リスクの基準
- 顧客の証拠金の取扱い
- 顧客資金の分別ルール
- 顧客口座情報の適切な記録保持
・・・
などを金融監督庁が定期的にチェックをする仕組みになっています。
違反すると、金融ライセンスははく奪されてしまうのです。
ということになります。
また、
- 日本以外の国の顧客:本社がある国の金融ライセンスでサービス提供
- 日本在住の日本人顧客:金融庁の圧力が及ばない国に立ち上げた子会社でサービス提供
というケースでは
日本在住の日本人へサービス提供している法人が直接金融ライセンスを保有しているケースよりは安全性が劣るものの
と考えて良いでしょう。
2.信託保全の有無、内容
「安全性の高さ」を気にするというのは、FXトレードの場合、結局「自分のお金が守られるか?」に尽きると思います。
- 安全性が低い = 投資家資金が守られない
- 安全性が高い = 投資家資金が守られる
です。
つまり、
ということが言えます。
日本国内のFX業者の場合は「信託保全」が義務化されていますが
海外FX業者の場合は、業者ごとに
- 全額信託保全
- 上限付きの信託保全(投資家基金、返金スキーム、保険)
- 分別管理のみ
と、取り組み方が異なるのです。
「全額信託保全」を導入しようとすれば、それなりにコストがかかるのです。
逆に言えば
ということになります。
3.企業規模(従業員数・顧客数・展開している国の数など)
1、2と比較すると若干重要度は落ちてしまうのですが「企業規模」も重要な安全性を評価する指標です。
世界100か国以上でサービス展開していて、顧客数が500万人以上いる世界的なFX会社が出金拒否をしたり、倒産してしまえば、世界的なニュースになってしまいます。
のです。
4.日本人顧客へのサービス提供の年数・日本人スタッフの有無
海外FX業者を利用していてトラブルが発生した場合
これが日本語が話せる外国人程度だと
- クレームの内容が正確に伝わらない
- 重要な規約などが英語のまま
- 日本人のように親身に対応してくれない
などの問題が発生してしまいます。
また、「日本人顧客へのサービス提供の年数」も重視すべきものです。
というのも、
海外FX業者も
と思って参入してきても、金融庁の圧力によって
と1年程度で撤退する海外FX業者も少なくありません。
また、日本人へのサービス提供で「出金拒否」などのトラブルを起こしてしまえば、SNSで瞬時に情報が広まって、サービスが立ち行かなくなります。
ということですから、「安全性が高い」海外FX業者と評価できるのです。
海外FX業者安全性ランキング
1位:XM
安全性評価指標 | 安全性 | 安全性評価 | 点数 |
---|---|---|---|
金融ライセンスの有無 | セーシェルライセンス機関(SLA)、親会社はキプロス証券取引委員会(CySEC)など複数の金融ライセンス所有 | ★★★☆☆ | 3.0 |
信託保全の有無、内容 | 大手保険グループで倒産時保険加入 | ★★☆☆☆ | 2.5 |
企業規模 | 従業員数180名、50万人以上の顧客、世界展開 | ★★★★★ | 5.0 |
日本人顧客へのサービス提供歴 日本人スタッフ |
10年超、日本人スタッフ10名以上 | ★★★★★ | 5.0 |
– | – | 総合評価 | 3.9 |
約定力 | 99.35%を1秒以内に約定 執行率100% リクオート・注文拒否なし |
信託保全 分別管理 | 2万EURまで信託保全(キプロス口座) 保険にて上限あり一部信託保全(セーシェル口座) |
ロスカットレベル証拠金維持率 | 20%以下 |
取引システム | MT4 MT4ウェブトレーダー MT5 MT5ウェブトレーダー |
通貨ペア数 | 57通貨ペア |
口座通貨 | USD,EUR,JPY |
口座の種類 | マイクロ口座/STP | スタンダード口座/STP | ゼロ口座/ECN | KIWAMI極口座/STP |
取引手数料 (片道) | 無料 | 無料 | 5ドル | 無料 |
最小スプレッド 米ドル/円 | 1.50 | 1.50 | 0.00 | 0.60 |
平均スプレッド 米ドル/円 | 1.60 | 1.60 | 0.10 | 0.70 |
最大レバレッジ | 1000倍(~2万ドル) 200倍(2万ドル~) 100倍(10万ドル~) | 1000倍(~2万ドル) 200倍(2万ドル~) 100倍(10万ドル~) | 500倍(~2万ドル) 200倍(2万ドル~) 100倍(10万ドル~) | 1000倍(~2万ドル) 200倍(2万ドル~) 100倍(10万ドル~) |
最低取引通貨 | 10通貨 | 1,000通貨 | 1,000通貨 | 1,000通貨 |
最低入金額 | 500円相当 | 500円相当 | 500円相当 | 500円相当 |
2位:AXIORY
安全性評価指標 | 安全性 | 安全性評価 | 点数 |
---|---|---|---|
金融ライセンスの有無 | ベリーズの金融ライセンスIFSC取得 | ★★★☆☆ | 3.0 |
信託保全の有無、内容 | Sparkasse bankで全額信託保全 | ★★★★★ | 5.0 |
企業規模 | 従業員数50名 | ★★☆☆☆ | 2.5 |
日本人顧客へのサービス提供歴 日本人スタッフ |
10年超、日本人スタッフ複数名 | ★★★★☆ | 4.0 |
– | – | 総合評価 | 3.6 |
口座の種類 | ナノ口座/MT4/ECN |
取引手数料 (pips換算:片道) | 0.30 |
最小スプレッド 米ドル/円 | 0.10 |
平均スプレッド 米ドル/円 | 0.60 |
最大レバレッジ | 400倍(~10万ドル) 300倍(~20万ドル) 200倍(20万ドル~) |
約定力 | 約定率:99.97% スリッページ平均:0.039pips 約定スピード:202.42m/sec |
最低入金額 | 2万円相当 |
3位:TitanFX
安全性評価指標 | 安全性 | 安全性評価 | 点数 |
---|---|---|---|
金融ライセンスの有無 | バヌアツ金融サービス委員会 | ★★★☆☆ | 2.5 |
信託保全の有無、内容 | 信託保全なし、分別管理のみ | ★★★☆☆ | 2.5 |
企業規模 | 従業員数50名 | ★★☆☆☆ | 2.5 |
日本人顧客へのサービス提供歴 日本人スタッフ |
10年超、日本人スタッフ複数名 | ★★★★☆ | 4.5 |
– | – | 総合評価 | 3.4 |
口座の種類 | Zeroスタンダード口座/STP |
取引手数料 (pips換算:片道) | 0.00 |
最小スプレッド 米ドル/円 | 1.00 |
平均スプレッド 米ドル/円 | 1.33 |
最大レバレッジ | 500倍 |
約定力 | ミリ秒単位の約定スピード |
最低入金額 | 2万円相当 |
安全性以外の点でおすすめの海外FX業者はこちら
まとめ
安全性が高い海外FX業者を評価するポイントは
- 金融ライセンスの有無
- 信託保全の有無、内容
- 企業規模
- 日本人顧客へのサービス提供歴日本人スタッフ
の4つのポイントがあります。
いくら厳しい金融ライセンスを取得していても、信託保全がなければ安全性が高いとは言えませんし、信託保全があっても、企業規模が小さい海外FX業者の場合、安全性が高いとは言いきれません。
海外FX業者の安全性は、上記の指標から総合的に判断すべきものなのです。
また、注意しなければならないのは
であり、そのコストは当然、顧客からの収益で賄われます。
ということなのです。
安全性を重視する投資家にとっては、この「海外FX業者安全性ランキング」でおすすめの業者を選べば良いのですが、「稼ぐこと」を第一に考えた場合は、「トレードコストが安い海外FX業者を選ぶ」などの別の選択肢も検討すべきなのです。
目的やトレードスタイルに応じて「海外FX業者選びで何を重視するのか?」を使い分けましょう。
「信託保全や金融ライセンスがある業者を選びたい。」