米中貿易摩擦(米中貿易戦争)とは?米中貿易摩擦のFX・為替への影響をわかりやすくまとめました。

米中貿易摩擦(米中貿易戦争)が思いのほか、長引き、世界経済自体も、これに足を取られて失速しはじめている現状です。米中貿易摩擦(米中貿易戦争)とは、いったい何なのか?米中貿易摩擦のFX・為替への影響をわかりやすくまとめました。

米中貿易摩擦(米中貿易戦争)とは?

米中貿易摩擦(米中貿易戦争)とは?

米国(アメリカ)と中国(中華人民共和国)の2国間の貿易問題のこと

「米中貿易摩擦(米中貿易戦争)」と呼びます。

米中貿易摩擦(米中貿易戦争)の発端は

2016年に大統領に就任したドナルド・トランプ大統領の政策の中で「対中貿易赤字」を取り上げたこと

です。

トランプ大統領は、公約の中で「対中貿易赤字の解消」「貿易の不均衡の解消」をすることで、自国(アメリカ)の経済を改善するとしているのです。

米国貿易赤字国トップ10

米国貿易赤字国トップ10

出典:米商務省データ

対中貿易赤字の推移

対中貿易赤字の推移

出典:毎日新聞

2018年の米国モノの貿易赤字

2018年の米国モノの貿易赤字

出典:日経新聞

2018年の貿易赤字

  • 対中国:4192億ドル
  • 対日本:676億ドル

と、日本円にすれば、米国は約50兆円近くの損失を中国に対して抱えていることになり、ビジネスマンであるトランプ大統領がこの赤字の解消を公約に掲げたのは、いたって自然なことなのです。

この公約の実現に向けて、トランプ大統領は

  1. 2018年3月:日本やEUなどを対象に鉄鋼とアルミニウムに関税を上乗せ
  2. 2018年7月~9月:計2500億ドル分に制裁関税

と、「関税を引き上げること」で、「自国の商品価格 < 輸入品の商品価格」の状態にし、貿易赤字を解消しようとしたのです。

man
「でも、関税を引き上げたのに貿易赤字は増えてない?」
teacher
増えてます。

理由としては

  • 米国の景気が好調で、利上げをするためドル高になってしまい、通貨安の国の商品が安く買える状態になっているため、多少の関税がかかっていても、アメリカ人が輸入品を買ってしまう状態が加速してしまったこと。
  • トランプ氏の政策で、大規模減税を行ったため、消費者の購買意欲が伸ぶたこと。
  • 対中国への制裁関税を見越した駆け込み需要で輸入が増えたこと。
  • 関税をかけられた国が対抗策として、米国の輸出品に対して、関税をかけたこと。

などが原因です。

man
「じゃあ、トランプ氏の関税引き上げの作戦は失敗だったんじゃないの?」

そうではありません。

とくに対中国に対する「貿易交渉」は、貿易赤字だけの問題ではないのです。

米中貿易摩擦(米中貿易戦争)の赤字解消よりも大きな目的とは?

米国と中国の覇権争い

が、貿易戦争という形になっているだけなのです。

中国の状況

「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」「一帯一路(Belt and Road )」など産業改革に力を入れています。

「一帯一路(Belt and Road )」

中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパへと続く「シルクロード経済ベルト」において、路や港湾、発電所、パイプライン、通信設備などインフラ投資を皮切りとして、金融、製造、電子商取引、貿易、テクノロジーなど各種アウトバウンド投資を積極的に進め、当該経済圏における産業活性化および高度化を図っていくプログラムのこと

「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」

2049年の中華人民共和国建国100周年までに「世界の製造大国」としての地位を築くことを目標に掲げたプログラムのこと

中国は「世界No.1の製造大国」になろうと舵を切り、「世界No.1の製造大国」であるアメリカにケンカを売った。

のです。

世界製造業競争力指数:国別ランキング

ビジネスマンであるトランプ大統領にしてみれば・・・

このまま中国が行っている

  • サイバー攻撃などによるIT技術の盗用
  • 知的財産の違法な流用
  • 為替操作による通貨安政策
  • 国有企業への強制的な技術移転
  • 高額な補助金政策

などを放置しておいて、世界1位の米国の座を奪われてしまったら、「貿易赤字どころではない損失が生じる」ということを危惧しているのです。

しかも、上記を行うための資金を米国が「貿易赤字」という形で中国に支払っているのですから、これは何としても、止めなければならに問題だ。と考えているはずです。

その結果として、中国に対して「輸入品に対する関税」をかけながら、いろいろな要求を呑むように通商交渉を行っているのです。

  • 知的財産の収奪
  • 強制的技術移転
  • 貿易歪曲的な産業補助金
  • 国有企業によって創り出される歪曲化及び過剰生産を含む不公正な貿易慣行

などを非難し、2018年12月の米中首脳会談を皮切りに断続的に閣僚級協議を繰り返し

  • 知的財産
  • 企業秘密の保護
  • 技術の強制移転
  • 競争政策
  • 金融サービス市場へのアクセス
  • 為替操作

の分野での、米国が強い不満を示していた問題を解決するために法律を改正するとの約束をしたのだが・・・

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代が6日

staff
「中国が約束を破ろうとしている」

と話したように

staff
中国政府は、5月3日、米中貿易交渉の合意文書案の全7章に修正を加えて、米国側に提示した。合意文書案は150ページ近くに及ぶが、中国政府が加えた修正は、これまでの交渉を白紙に戻すような内容だった

と報道されています。

その結果、トランプ氏は、5月5日に「対中関税の引き上げ」をツイッターで表明し、追加関税となったのです。

米中貿易摩擦の追加関税の状況

米国中国
発動日対象金額関税率品目数対象金額関税率品目数
2018年7月6日340億ドル25%818品目340億ドル25%545品目
2018年8月23日160億ドル25%284品目160億ドル25%333品目
2018年9月24日2000億ドル10%5745品目600億ドル5%/10%5207品目
2019年5月10日25%25%
第4弾30000億ドル25%3805品目

中国が米国の要求を呑めなかった理由とは?

米経済団体幹部によると

staff
「米中は知財保護など90%超の部分で決着していた。ただ、中国の産業補助金を巡り最後まで折り合えなかった」

と話しているとのことです。

産業育成策「中国製造2025」を掲げる中国は、5000億ドルを超える巨額の資金枠を設けて、ハイテクなど先端産業に補助金を投じてきました。

米国は、世界貿易機関(WTO)ルールに抵触する補助金の全面撤廃を求めていました。

しかしながら、中国の急成長の根幹となるのが「補助金政策」であり、

各省が補助金を活用して、産業を誘致し、雇用を生み、税収を増やす

というのが中国の高度成長の成功法則になっているのです。

中国としても

成長のカギである「補助金政策」を手放すわけにはいかない。

と考えているため、米国の要求を全面的に受け入れられなかったのです。

米中貿易摩擦の今後の展開はどうなるの?

基本的に通商交渉では「買い手」が有利です。

米中貿易摩擦の追加関税の状況

米国中国
発動日対象金額関税率品目数対象金額関税率品目数
2018年7月6日340億ドル25%818品目340億ドル25%545品目
2018年8月23日160億ドル25%284品目160億ドル25%333品目
2018年9月24日2000億ドル10%5745品目600億ドル5%/10%5207品目
2019年5月10日25%25%
第4弾30000億ドル25%3805品目

を見ても、あきらかなように

米国はまだまだ関税をかける余地がありますが、中国は米国からの輸入品数、輸入品額が小さいため、関税をかける余地が残されていないからです。

トランプ大統領が強気の交渉に出るのも、当然

といったところです。

中国も

  • 全面的な米国の要求受け入れは、中国の成長を止める要因となる
  • 全面的な米国の要求受け入れは、中国のメンツにかかわる

ため、やすやすと受け入れることはできないでしょう。

米中貿易摩擦が長引く可能性が高い

と筆者は考えます。

トランプ大統領にも、2020年の大統領選があり、実際にはのんびりと構えてられるわけではありません。

「関税引き上げ」は、中国に与える影響の方が何倍も大きいのですが、米国にもマイナスの影響を与えます。

米中貿易摩擦によるGDPへの影響

米中貿易摩擦によるGDPへの影響

出典:大和証券

選挙の前に「貿易赤字問題を解決した。」「中国に対して有利な条件でまとめた。」外交実績を作りたい。という思惑も、トランプ大統領にはあるのです。

すぐに解決するものではないとは言え、2020年には、お互い譲歩する可能性があるのではないでしょうか。

米中貿易摩擦のFX・為替への影響

では、米中貿易摩擦が与えるFX・為替への影響はどうなるのでしょうか?

米中貿易摩擦が続けば、世界経済に与える影響は大きく

  • 世界経済が不安定になる
  • 世界経済が失速する

ことになります。すでにこの傾向は出始めています。

お決まりの「有事の円買い」が起こると同時に、トランプ大統領は、実績作りのために少しでも貿易赤字を減らすべく、FRBに圧力をかけて利下げを要求しています。

米中貿易摩擦が継続する間は

円高ドル安に動く可能性が高い

と筆者は考えます。

teacher

少なくとも、2019年~2020年は円高傾向、ドル安傾向で為替は進むのではないでしょうか。

いつもの通りのリスクオフ局面の円高ドル安に動くと予想します。

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おく先生

FX(海外FX中心)・バイナリーオプション・不動産投資など、投資歴10年、ほぼ投資だけでご飯を食べています。FXを中心として、様々な投資関連の情報を実際に実行しながら発信します。1000万円単位の失敗投資もたくさんしています。 FX資産額:3,000万円 保有不動産:2億円・7戸(戸建て中心) 借金:0円