海外FXの長期的なトレンドは「2国間の金利差」で予想する。「2国間の金利差」を調べる方法

man
「海外FXが主戦場だけど、ファンダメンタルズ分析も視野に入れたい。」
「テクニカル分析しかしていないんだけど、金利の知識も必要?」

という投資家の方も少なくないはずです。今回は、FXトレードのファンダメンタルズ分析の大きな基本である「金利と為替レート」について解説します。これは指標発表や要人発言による為替レートの変動にも影響してくるため、テクニカル分析がメインのトレードスタイルの方でも、ベースの知識として保有しておくべきものなのです。

「金利」って何?

テクニカル分析を基本とする投資家の方は

man
そもそも「金利」って何を意味するの?

というところから、わからない方もいるかも知れません。

「金利」とは

各国の中央銀行の決定する「政策金利」のこと

を言います。

「政策金利」とは

中央銀行が民間の銀行に融資する際の金利のこと

各国の政策金利

2017年8月時点

  • 日本:0.10%
  • アメリカ:1.25%
    オーストラリア:1.50%
  • 欧州:0.00%
  • 英国:0.25%
  • 南アフリカ:6.75%
  • トルコ:8.00%

勘の良い方は、わかるかと思いますが

各国の政策金利 ≒ 外貨預金の金利 ≒ FXのスワップ金利

に近いものとなっています。

これはなぜかというと

中央銀行の決めた政策金利は、中央銀行が民間銀行へ融資するときの金利です。民間銀行の預金金利も、この政策金利に連動するのです。
concierge

外貨預金も、日本の銀行が海外の銀行に預金しているだけのことですので、オーストラリアの政策金利が1.50%だと、オーストラリアの銀行の預金金利も1.50%になって、日本の銀行の豪ドル外貨預金金利も1.50%に近い金利になるということなのです。

FXのスワップ金利も、外貨預金の金利と同じようなものですので、同じ水準になります。

「為替」は「金利」に連動して決まる

為替レートというのは「通貨間のお金の流れ」で決まってきます。

資本(お金)は金利の低い国から金利の高い国に流れる

これが為替の大原則なのです。水が高いところから低いところに流れるのと同じです。

concierge

あなたが1億円もっていたと仮定した場合に、国の破たんリスクを考慮せずに考えれば

定期預金金利が0.10%に満たない日本の銀行に預金し続けるでしょうか?

多くの方が、国の破たんリスクを無視すれば

  • 南アフリカ:6.75%
  • トルコ:8.00%

の銀行に預金するのではないでしょうか?

1億円預金したとして

  • 日本の銀行の定期預金金利:0.10% → 1年の利息:10万円
  • 南アフリカの定期預金金利:6.75% → 1年の利息:675万円
  • トルコの定期預金金利:8.00% → 1年の利息:800万円

南アフリカ、トルコとも、国の信用リスクが大きいので、妥協ラインとして比較的国が安定している

  • オーストラリアの定期預金金利:1.50% → 1年の利息:150万円

に流れているだけなのです。

日本人に限らず、海外の人も
個人に限らず、法人も
・・・

お金があれば、低金利の国から高金利の国にお金を移す

のが当然の判断であり、これが為替の大原則なのです。

「2国間の金利差」が為替レートを左右する

日本と米国で考えてみると

  1. 「米国」の金利 > 「日本」の金利
  2. 「日本円」→「米ドル」に資本(お金)が流れる
  3. 円安/ドル高になる

という仕組みになります。

「米国」の金利 > 「日本」の金利の金利差が広がれば広がるほど
円安/ドル高は拡大する

ことになります。

つまり、「2国間の金利差」は「為替レート」と強い相関関係があるのです。

実際に「2国間の金利差」と「為替レート」を見てみると

※政策金利は数か月、数年単位でしか変動しないのでそのまま金利差と為替レートを見ても、実態と離れた動きになります。為替レートへの影響を見るためには、需要と供給によって政策金利に近い水準で推移する「2年物国債金利」を採用します。

日米の「2国間金利差」と「米ドル/円」の過去10年の推移

これを見ても、「2国間金利差」と「為替レート」には強い相関性があることが明確です。

ファンダメンタルズ分析の視点で見れば

2016年~2017年8月時点までは

「2国間の金利差」と「米ドル/円」の開きが大きくなっています。

ということは

長期のトレンドで見れば、米ドル/円は「円安」に推移する可能性が高い
ポテンシャルで言えば、130円~140円でもおかしくない水準

と予想することができるのです。

man
なぜ、現時点でこれだけ「2国間の金利差」と「米ドル/円」の開きが大きくなっているの?
concierge
市場原理とは関係ないところで、日銀が国債を買いまくっているから

です。本来は日本の国債金利はもっと高い金利になるのが市場原理としては適正なのですが、日銀が国債を買うことで金利を押し下げているのです。

日銀の国債保有割合も、4割を超え、2018年末には6割を超える計算になります。これ以上、国債買い入れは続けられないのですから、日銀の国債買い入れが終われば、日本円はかなり円安に振れるはずです。

※実際には日銀の国債買い入れが終われば、日本の国債金利も上昇するため、「2国間金利差」は縮小するので、130円~140円というレベルの円安にはならないでしょう。ただし、円安方向に振れる可能性は高いのです。

この「2国間金利差」と「為替レート」の相関性は、日本と米国だけのものではなく、世界共通のものとなっています。トレードしたい通貨ペアの「2国間金利差」と「為替レート」を調べることで、長期的なトレンドを知ることができます。

concierge
デイトレードやスイングトレードの短期取引をメインのトレードスタイルにしている方でも、長期的なトレンドがどちらに傾いているのか?知ることで、短期取引の精度を高めることも可能になります。

「2国間の金利差」「金利情報」を調べる方法

concierge
FXトレードでは「為替レート」「経済指標」の情報はあふれていますが、あまり「金利情報」を積極的に配信しているウェブサイトはありません。

Yahoo!を見ても

「為替レート」「経済指標」はあるもの「世界各国の国債金利情報」は用意されていないのです。

金利情報を調べるおすすめのウェブサイト

米国2年物国債金利というレアな金利情報も表示されています。

米国 2年 債券利回り

何より「過去のチャート情報」をダウンロードすることが可能です。

また、無料登録をすれば、ポートフォリオを作って、必要なデータだけを保持することもできます。

「金利情報」を調べるにはうってつけのサイトと言えます。

「2国間の金利差」を調べる方法

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「2国間の金利差」情報を配信している無料サイトは見つけることができませんので、自分で作成するしかありません。今回は、エクセルを使って作成する方法を解説します。

日本と米国の「2国間の金利差」を調べる手順

Investing.comの「米国 2年 債券利回り」のページに行く

「過去のデータ」をクリックする

データを取得する「日付」を選択する

データをダウンロードする

「米ドル/円」「日本2年物国債金利」も同じ手順でデータをダウンロードする

エクセルに貼り付ける

金利差を計算する関数を入れて

折れ線グラフを作成する

非常に簡単です。今回作成したエクセルのテンプレートはこちらです。貼り付けるだけで「2国間金利差」と「為替レート」を比較して表示することができいます。

「金利」情報を入れれば、雇用統計の落とし穴もわかる!?

前述した通りで

「金利」が高くなれば、低金利の国から資本が集まるので「通貨高」になる

という原則があります。

じゃあ、金利はどうやってきまるかというと・・・

  • 景気が悪いとき → 中央銀行は政策金利を低金利にして、民間銀行が企業に融資をしやすくする
  • 景気が良いとき → 中央銀行は政策金利を高金利にして、インフレ拡大からのバブル崩壊を抑制する

という動きになるのです。

  • 景気が良い → 高金利 → 通貨高
  • 景気が悪い → 低金利 → 通貨安

というのが為替の原理原則なのです。

日銀や政府の政策を見ても

景気が悪いから、国債買い入れやマイナス金利を導入して、無理やり低金利にして円安にすることで、輸出企業の業績を上げ、株高を起こした。

のです。

世界中で通貨安競争が起きてしまったのは、自国通貨を安くして自国商品の価格を下げることで輸出を増やし、貿易黒字を増やそうとする国が増えたからです。

この原理原則がわかっていれば

man
米国の雇用統計が予想より良かったはずなのに、なんで米ドル安になっているの?

という疑問にも説明が付く可能性があります。

例えば、2017年3月10日の雇用統計を見てみると

  • 予想:20.0万人
  • 結果:23.5万人

ですから、

man
「予想よりも、雇用統計の数字が良かったのでドル高になるはず。」

と思っていたら・・・

man
「なぜかややドル安に動いた。」

という経験をした方も多いのではないでしょうか?

多くの方の雇用統計の見方は

  • 雇用統計の指標が予想より良い → ドル高
  • 雇用統計の指標が予想より悪い → ドル安

というシンプルな関係だと思っているはずです。

しかし、前述した為替の原理から考えると

  • 景気が良い → 高金利 → 通貨高
  • 景気が悪い → 低金利 → 通貨安

ですので

  • 雇用統計の指標が予想より良い → 金利が高くなる → ドル高
  • 雇用統計の指標が予想より悪い → 金利が低くなる → ドル安

というのが正しいのです。

concierge
このときは「金利」がじゃまをして、雇用統計の結果通りに為替レートが動かなかったのです。

米国10年もの国債金利

を見てみると

3月10日は、過去1年間で一番高い金利水準になってしました。

concierge
雇用統計の指標が良ければ、国債金利も上昇するはずなのですが、3月10日は、過去1年間で一番高い金利水準だったので、金利がすでに上がりすぎていたのです。

上昇余地がほとんどなかったために

雇用統計の指標が予想より良い → 金利が高くなる× → ドル高×

と金利が上がらず、雇用統計の指標が予想よりも良かったのにも関わらず、ドル高にならず、ややドル安方向に動いてしまった。

ということになるのです。

同じような例には東日本大震災のときの為替変動があります。

2011年3月11日、東日本大震災で、日本は未曽有の危機に遭遇しました。

concierge
本来、これだけの災害が起これば、国の存続が危ぶまれるのですから「円安」になるはずです。

しかし、思惑とは逆に円高に推移したのです。

concierge
日本の金利がこれ以上金利が下がる余地がないぐらいの低金利だったからです。
man
「でも、2011年よりも、2017年の今の方が金利が下がっているじゃん。下ぶれ余地がなかったって言いきれるの?」
concierge

2011年は民主党時代で、安倍政権になってから金融緩和で「国債買い入れ」「マイナス金利」導入をはじめ、無理やり国債金利を押し下げているのです。

市場原理の中では、国債金利0.1%というのは、下がる余地のない低金利だったのです。

つまり、

為替レートの変動を予想するためには「金利」という要素を入れ込んで考える必要がある

ということです。

  • 景気が良い → 高金利 → 通貨高
  • 景気が悪い → 低金利 → 通貨安

という原理原則と

  • 「国債買い入れ」「マイナス金利」などの金融政策による影響

を考慮することで、為替レートの変動を正確に予想することが可能になるのです。

concierge
「金利」という要素は、FXトレードをする上で非常に重要なツールなのです。

スキャルピング・デイトレードの短期取引でも「金利」を理解する重要性

前述した通りで

指標発表トレードをしているトレーダーでも、米国の10年もの国債金利の推移をチェックしていれば

すでに米国の10年もの国債金利が高すぎる水準であれば

  • 予想より雇用統計の数字が良くても、ドル高にはならない
  • 予想より雇用統計の数字が悪ければ、大きくドル安に振れる可能性がある

ということが事前にわかるはずです。

だとすれば、指標発表後に少し下の価格で指値注文をショートで入れておけば、大きく稼げる可能性がありますし、少し上の価格でロングで指値を入れても、少し上がって下がってしまう可能性が高いと判断することができます。

デイトレードであっても、日銀が国債買い入れを実行して、金利が下がったのであれば、円安に振れる可能性が高いと判断できます。

「金利」情報というのは、ファンダメンタルズ分析を利用した長期取引の投資家が考えるものと思われがちですが、短期取引をトレードスタイルとしている投資家の方にも、為替レートの変動を予想する重要なデータにもなりうるのです。
consultant
また、「金利情報」を抑えることで、日常的に配信されているFXニュースと為替レートの関係がより結びついて見えてくるはずです。

少なくとも、日常的に取引している通貨ペアの2年もの国債金利の推移チャートぐらいは表示させておくことをおすすめします。

まとめ

為替レートは「金利」を入れて考えると予想の精度が上がります。

為替の原理原則では

  • 資本は低金利の通貨から、高金利通貨に流れる
  • 景気が良い → 高金利 → 通貨高
  • 景気が悪い → 低金利 → 通貨安

となります。

concierge
「マイナス金利」「国債買入れ」などの市場原理にそぐわない例外の影響で、この通りにならないこともあるのですが、為替の仕組みの原理原則がわかっていれば、例外も考慮した上で、為替レートの変動を予想することができるのです。
  • 資本は低金利の通貨から、高金利通貨に流れる

という原則があるので

  • 「2国間の金利差」は「為替レート」と強い相関性を持つ

傾向があります。

concierge

「2国間の金利差」と「為替レート」を比較することで、今後の為替レートの変動を予想することができます。

FXトレードの勝率を上げるためには「金利情報」をチェックすることが必要不可欠なのです。

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