海外FX業者を比較検討するときに「スプレッドの狭さが重要」と思っている投資家の方が多いかと思います。海外FX業者をスプレッドで比較して、選ぶときには「覚えておくべき注意点」があります。今回は、海外FX業者をスプレッドで比較するときの落とし穴「覚えておくべき注意点」について解説します。
海外FX業者のスプレッドと国内FX業者のスプレッドの違い
国内FX業者の場合
がほとんどです。
国内FX業者は基本的には「呑み取引(相対取引)」ですので、投資家の注文を国内FX業者が「呑む」だけであり、実際の売買が発生しません。(※カバー取引による反対売買などはありますが、スプレッドが狭い国内FXは、ほとんどを呑む形でサービス提供しています。)
だからこそ「固定スプレッド」が実現できているのです。
「※原則固定」としているのは、100%呑み取引でないFX業者もありますし、いざとなったらカバー取引をしなければならないケースも想定されるので「相場の急変動時はカバー取引をするかも知れないから広がるよ。」という可能性を排除しないためです。
カバー率とスプレッドの関係
海外FX業者の場合
がほとんどです。(※一部固定スプレッドを採用している海外FX業者もあります。)
海外FX業者は「NDD取引(ノン・ディーラー・デスク)」を採用しています。基本的にはインターバンク市場で、顧客の注文通りに実際に通貨の売買を行う取引方法ですので、その分何もしない「呑み取引(相対取引)」とは違って、取引手数料が発生します。
NDD取引では、参加している複数のリクイディティプロバイダーが提示したレートの中から、常に最良レートが自動的にチョイスされる仕組みですので、スプレッドが固定されることはなく、取引の度にスプレッドが変動するのです。
海外FX業者のスプレッドの表記の種類
リアルタイムスプレッド
リアルタイムスプレッドとは
のことを言います。
ウェブサイト上でリアルタイムスプレッドを公開している海外FX業者も多くなっています。
例:AXIORY
「リアルタイム」ですから、MT4などで見ている刻々と通貨ペアの価格が変動しているのと同じように「今現在のスプレッド」が表示され、秒単位で常に変動しています。
最小スプレッド
最小スプレッド(最少スプレッド)とは
のことを言います。
「最小スプレッド表記」を採用している海外FX業者のウェブサイトには「一番スプレッドが狭かった時のスプレッド」が記載されています。多くの海外FX業者は、最小スプレッドを表示しています。
最大スプレッド
最大スプレッドとは
のことを言います。
「最大スプレッド表記」を採用している海外FX業者のウェブサイトには「一番スプレッドが広かった時のスプレッド」が記載されています。ほとんどの海外FX業者で「最大スプレッド表記」は採用されていません。
平均スプレッド
平均スプレッドとは
のことを言います。
「平均スプレッド表記」は、一定期間のスプレッドの平均値ですので、実際に取引をするときの目安になるスプレッドの表記方法と言えます。
XMのスプレッド表示画面
XMでは、最小スプレッド、平均スプレッドを公開しています。
AXIORYのスプレッド表示画面
AXIORYは、上記のスプレッドの種類がすべてウェブサイト上で公開されています。
左から
- 現在スプレッド
- 最小スプレッド
- 最大スプレッド
- 平均スプレッド
が記載されています。
海外FX業者をスプレッドで比較するときの落とし穴
その1.「リアルタイムスプレッド」や「最小スプレッド」で比較しても意味がない!
「リアルタイムスプレッド」で海外FX業者を比較しても意味がありません。1秒後には違うスプレッドになっているので、あなたが見た瞬間に狭いスプレッドの海外FX業者が10分後にも、狭いスプレッドが維持できるとは言えないからです。
「最小スプレッド」「最大スプレッド」で海外FX業者を比較しても意味がありません。これもリアルタイムスプレッドと同じように「最小」だけで比較しても、たまたまスプレッドが狭い時間が一瞬だけあっただけかもしれません。実際に取引したときも最小になるとは限らないからです。
回避方法
海外FX業者を比較するときに重視するべきなのは「平均スプレッド」です。「固定スプレッド」ほどの信頼性ではありませんが、「平均スプレッド」が狭い海外FX業者の方が、実際に取引をしたときも狭いスプレッドが実現できる可能性が高いからです。
その2.取引手数料が無料じゃない可能性もある!
国内FX業者はほとんどは取引手数料が無料です。
海外FX業者も取引手数料が無料のものが多いです。
しかし、海外FX業者の口座によっては
- 取引手数料を有料にする代わりに、スプレッドが狭い口座
を用意しているところも少なくありません。
- ECN口座
- 大口投資家向け口座(VIP口座、プロ口座)
- ゼロスプレッド口座
- 自動売買系(システムトレード、ソーシャルトレード)の口座
などの口座が手数料が有料の可能性があります。
- 取引手数料無料の口座のスプレッド
- 取引手数料有料の口座のスプレッド
を比較すれば「取引手数料有料の口座のスプレッド」の方が狭いのは当然なのですが
と簡単に決めてしまって、あとから
というケースも少なくないのです。
回避方法
まずは「取引手数料が有料か?無料か?」を口座を開設する前に今一度確認することが重要です。
取引手数料が有料の場合には「取引手数料をpipsに換算して比較すること」をおすすめします。
例えば
FX海外口座:A
- 取引手数料:無料
- 米ドル/円スプレッド:1.0pips
FX海外口座:B
- 取引手数料:往復10ドル/1ロット(10万通貨取引)
- 米ドル/円スプレッド:0.2pips
という場合には
- FX海外口座:A 1.0pips
- FX海外口座:B 往復10ドル ≒ 1.0pips + 0.2pips = 1.2pips
とpips換算した上で、比較すれば良いのです。
この例で言えば、取引手数料を無視したら「FX海外口座:B」の方がスプレッドが狭いと思ってしまいがちですが、取引手数料をpips換算して合算すれば「FX海外口座:A」の方がスプレッドが狭いことになります。
その3.取引手数料には片道と往復がある!
スプレッドは「通貨を売る時の値段(BID)と通貨を買う時の値段(ASK)の差」ですから
「買う」「売る」という2つの行為で1回のスプレッドが発生します。
取引手数料は
- 「買う」:1回分の取引手数料発生
- 「売る」:1回分の取引手数料発生
となります。
前述したスプレッド換算を正確に書くと
となります。
取引手数料は「往復」、つまりすでに2倍してある状態で記載することが多いのですが、海外FX業者の場合、少しでも取引手数料を安くするために「片道の取引手数料」で表記していることが多いのです。
大きな問題は
- 往復で取引手数料を表示する海外FX業者と片道で取引手数料を表示する海外FX業者が混在していること
- 片道の取引手数料の場合は、注意書きに小さく「片道」と書いてあるだけというところも少なくない
ことです。
ECN成約手数料をUS$ 3.0/ロット(往復の場合はUS$ 6.0/ロット)にすることを実現しました。
回避方法
取引手数料が有料の海外FX口座の場合は必ず「片道」「往復」か確認することが重要です。「片道」の場合は2倍してから、取引手数料のスプレッド換算をしましょう。
その4.平均スプレッドの「測定期間」に注意
前述したAXIORYは
- 現在スプレッド
- 最小スプレッド
- 最大スプレッド
- 平均スプレッド
を表示している優良業者ですが
下部に
(*1)
スプレッドの最小・最大・平均値は、過去24時間のデータを取得して集計されます。そのため、休場明け等によりスプレッドが広まる時間帯を跨ぐ場合、実際の参考値と異なる値が表示される場合がございます。
という注意書きがあります。
24時間でのスプレッドの平均値が掲載されているということです。
「平均スプレッドで比較することが重要」と言いましたが、24時間の平均値の場合は、日によって変動幅が大きく異なります。
- 指標発表日の平均スプレッド
- 何もない日の平均スプレッド
は大きく違うはずなのです。
逆に「測定期間」が1年と長く設定している海外FX業者の場合は、「平均値の信頼性が高い」スプレッドを表記していると言えます。
どのくらいの「測定期間」の平均値なのか?も重視すべき要素です。
ただし、平均スプレッドの測定期間は記載されていない海外FX業者が多いのが現状です。
回避方法
「どのくらいの測定期間の平均値なのか?」を確認する必要があります。異常に長い測定期間、異常に短い測定期間の場合は注意が必要ですし、そもそも測定期間が公開されていなければわかりません。。また、完全に一致して比較するのは難しいのですが、同じ測定期間で平均スプレッドを比較する必要があります。
当サイトでは主要な海外FX業者のみ、同じ環境で平均スプレッドを同じ測定期間で取得しています。参考にしてください。
海外FXスプレッド比較(同環境・同じ測定期間)
その5.海外FX業者公表のスプレッドは鵜呑みにできない!
当サイトではMT4をVPSサーバー上で動かして、同環境で海外FX業者のスプレッドを測定しています。
この記事を記載している時点のAXIORYのスプレッドは
AXIORYのウェブサイトの公開スプレッド
平均スプレッド:1.8pips
となっています。
AXIORYのウェブサイトの公開スプレッドは過去24時間のデータで、当サイトの測定スプレッドは本日(14時まで)のデータですから
同じスプレッドを測定しているのであれば「当サイト測定の最小スプレッド:1.1pips」が「AXIORYのウェブサイトの最小スプレッド:1.6pips」を下回るはずがないのです。
しかし、現実的に「違う」結果となっています。これには色々な理由が考えられますが
- 測定タイミング
- トレード環境
によっても、スプレッドがは大きく異なるということを意味しています。
今回は、海外FX業者の表記しているスプレッドの方が弊社測定のスプレッドよりも広いというパターンでしたが、逆パターンも考えられます。
回避方法
実際に取引をしてみるのが一番手っ取り早い方法です。デモ口座だとリアル口座と同じ条件で測定できませんのでリアル口座で同じタイミングで注文して「いくらで約定されるか?」比較してみる方法も一つの方法と言えます。当サイトの測定データは同環境下での測定データなので参考にしてください。
海外FXスプレッド比較(同環境・同じ測定期間)
海外FX業者をスプレッドで比較するときのコツ
情報公開がしっかりしている海外FX業者の方が信頼性は高い!
前述したAXIORYの場合は
- リアルタイムスプレッド
- 最小スプレッド
- 最大スプレッド
- 平均スプレッド
もすべて公開していて
データの測定期間も「24時間」と明記しています。
口座の種類 | ナノ口座/MT4/ECN |
取引手数料 (pips換算:片道) | 0.30 |
最小スプレッド 米ドル/円 | 0.10 |
平均スプレッド 米ドル/円 | 0.60 |
最大レバレッジ | 400倍(~10万ドル) 300倍(~20万ドル) 200倍(20万ドル~) |
約定力 | 約定率:99.97% スリッページ平均:0.039pips 約定スピード:202.42m/sec |
最低入金額 | 2万円相当 |
しかし、海外FX業者の多くは
- リアルタイムスプレッドしか公開していない
- 最小スプレッドしか公開していない
- 平均スプレッドを公開しているが測定期間は記載されていない
- 平均スプレッドを最近になって公開しなくなった
- スプレッドの情報が日本語サイトにはない
- スプレッドの参考例という意味のわかならない情報しかない
・・・
というところが少なくないのです。
スプレッドの狭い、広いを比較することも重要ですが
「海外FX業者が自社発信で公開している数字が本当に正しいものか?どうか?」を証明してくれる機関はありませんから
(金融ライセンスを保有している場合は、金融監督庁が海外FX業者の営業状態の監査を行うが日本語ウェブサイトでの掲載スプレッドを確実にチェックしてくれるかは定かではない。)
- 少しでも信頼性の高い(情報公開が徹底されている)海外FX業者を選ぶ
- 自分で口座開設して実際にトレードをしてスプレッドをチェックする
ことが重要になります。
スプレッドが狭い海外FX業者はこちら
「海外FXではスプレッドが狭い海外FX業者を選ぶべきですか?」
「海外FX業者をスプレッドで比較するときは、何に注目して比較するべきですか?」
「海外FX業者をスプレッドで比較するときに注意すべきポイントは何ですか?」
「スプレッドが狭い海外FX業者を教えてください。」