海外FXとは?一体どんなサービスのことを意味するのでしょうか?
と、疑問を感じる投資家も多いと思います。「海外FX」だけを解説しても、「海外FX」のサービス、メリットデメリットは理解できません。今回は「国内FX」と「海外FX」を比較しながら、海外FXを丸裸にしていきたいと思います。
海外FXとは
海外FXとは
を海外FXと呼びます。
※海外に本社があるFX会社が、日本法人を作って、金融庁に登録の上サービス提供している場合は「海外FX業者」とは呼びません。「国内FX業者」です。OANDA Japanなどが該当します。
FXトレードとは
日本で日本円をドルに両替してからアメリカ旅行に行っても、旅行先のアメリカで日本円をドルに両替しても、交換レートの違いはあれど「ドルはドル」なのです。
FXトレードは「通貨」が売買対象ですから
- 日本国内のFX業者を使ってFXトレード(通貨の売買)をしても
- 外国のFX業者を使ってFXトレード(通貨の売買)をしても
大枠の「FXトレード(通貨の売買)」という基本サービスには違いがないため、日本人投資家であっても、国内FXと同じように海外FXをはじめることができるのです。
その答えはサービスの違いにあります。まずは比較表を見てください。
海外FXと国内FX比較
比較項目 | 海外FX | メリット判定 | 国内FX |
---|---|---|---|
レバレッジ規制 | 適用外 ※日本の法律が適用されないため |
○ > × | 適用 ※日本の法律が適用されるため |
最大レバレッジ(個人) | 相場:400倍~500倍 最大:3000倍 |
○ > × | 相場:25倍 最大:25倍 ※さらに10倍に規制される噂がある |
最大レバレッジ(法人) | 相場:400倍~500倍 最大:3000倍 |
○ > △ | 相場:40倍~50倍 最大:変動 |
スプレッド | 米ドル/円:平均0.8pips~1.0pips | △ < ○ | 米ドル/円:0.3~0.5pips前後 |
スプレッドの種類 | 変動スプレッド | △ < ○ | 原則固定スプレッド |
取引方法 | NDD取引(ノン・ディーリング・デスク) ※投資家の注文通りに売買を行う |
○ > × | DD取引(ディーリング・デスク) ※店頭取引(OTC取引)/相対取引とも言う ※投資家の注文を呑む |
投資家とFX業者の関係性 | 投資家の取引量が増える → 儲かる 取引量を増やすために投資家に儲けて欲しい「パートナー関係」 |
○ > × | 投資家が損をする → FX業者儲かる 投資家に負けて欲しい。損してほしい 「利益相反関係」 |
カバー取引の割合 | インターバンク直結ですべての取引が約定される | ○ > △ | 狭いスプレッドのFX業者 → カバー率は数% カバー率の平均値は40.3% 残りの6割は、国内FX業者が呑む |
ECN口座 (板情報などが見れる電子取引所取引) |
利用可能 | ○ > × | 利用できない くりっく365が該当する |
米ドル口座 | 利用可能 | ○ > △ | FX業者によって利用可能 |
ユーロ口座 | 利用可能 | ○ > × | ほとんど利用できない |
CFD | 利用可能 金、プラチナ、原油、株価指数、米国株など |
○ > × | 利用できない |
MAM/PMAM口座 | 一部の業者で利用可能 | △ > × | 利用できない |
大口投資家専用サービス | 一部の業者で利用可能 | △ > × | 利用できない |
通貨ペア | 50通貨~70通貨 ※マイナー通貨にも対応している |
○ > × | 20通貨前後 ※メジャー通貨のみのFX業者が多い |
ボーナス | 証拠金が2倍になる100%ボーナスなど手厚い | ○ > △ | 期間限定のポイントプレゼントやキャッシュバックなど、常に実施しているFX業者は少ない |
トレードコンテスト | 賞金1億円のものもある。 ※元の証拠金を何倍に増やせたかで競う形 |
○ > × | ほとんどない |
ポイントプログラム | 一部の業者で利用可能 | ≒ | 一部の業者で利用可能 |
約定力 | 概ね高い | ≒ | FX業者による違いが大きい |
リクオート(約定拒否) | ない | ○ > × | ある |
スリッページ | ある | ≒ | ある FX業者による違いが大きい |
追証(おいしょう) | ない。 ゼロカットシステム採用 残高のマイナス分はFX業者が補てん |
○ > × | ある。 残高のマイナス分「ロスカット未収金」は投資家の借金 |
スワップ金利 | 低い | △ < ○ | 高い |
取引の透明性 | 高い ※取引ツールはほぼ全社共通の外部ツールMT4、かつNDD取引なので取引の透明性は高い |
○ > △ | 低い ※取引ツールが自社開発なのでブラックボックス。レートが正しいかも不明 |
主要な取引ツール | MT4(メタトレーダー4) MT5(メタトレーダー5) |
○ > × | 独自開発、ベンダーがFX業者独自仕様に開発 |
システムトレード | MT4/MT5のEAで実現可能。他のシステムトレードプラットフォームもある | ≒ | システムトレードに力を入れているFX業者は利用可能。リピート系の発注機能などもある |
ソーシャルトレード・コピートレード | 一部の業者で利用可能 | △ > × | 利用できない 一部の業者で利用可能 |
VPSサーバー | 条件付で無料利用可能 | ○ > × | 提供しているところはほとんどない |
初回入金額 | スタンダード口座で100円~1万円 | △ < ○ | 無料のところが多いがすべてではない |
最低取引量 | 100通貨~1,000通貨 | ○ > △ | 100通貨~10,000通貨 |
サポート時間 | 日本人スタッフが平日24時間対応が多い | ○ > △ | 一部のFX業者は24時間サポートを導入 |
サポート対応 | 日本人スタッフがいないFX業者はサポートが心もとない | △ < ○ | 問題なし |
チャット問い合わせ | 利用可能。24時間気軽にメッセージのやりとりができるので便利 | ○ > △ | 導入しているFX業者はほとんどない |
ウェブサイトの使い勝手 | 日本語対応はしているが海外仕様でわかりにくいサイトもある | △ < ○ | 問題なし |
信頼性 | 金融ライセンスを取得しているFX業者とそうでないFX業者の信頼性の差が大きい | △ < ○ | 基本的に信頼できる |
急な営業停止やトラブルリスク | 金融ライセンスを取得してないFX業者は多い | △ < ○ | それほど多くない |
口座開設から利用までのスピード | 数時間~1日 | ○ > △ | 2日~3日 |
入金方法 | クレジットカード 海外送金 国際決済サービス 仮想通貨 |
≒ | 銀行振込 クイック入金 |
入金手数料 | 無料のものが多い | △ < ○ | 無料 |
出金方法 | クレジットカード 海外送金 国際決済サービス 仮想通貨 プリペイドカード |
△ < ○ | 銀行振込 |
出金手数料 | 海外送金で1回3000円~5000円の手数料 | × < ○ | 無料 |
デビットカード/プリペイドカード | 業者によって発行可能。 FX口座の資金でセブン銀行ATMでの引き出しやクレジットカードのように買い物で利用できる。 |
○ > × | なし |
信託保全 | 業者ごとに違うが分別管理が多い。 信託保全のFX業者も上限○○万ドルまでという上限付きが多い |
△ < ○ | 信託保全が義務付けられている |
為替ニュース | アナリストのデイリーのマーケティングレポートや取引シグナルなど専門家の情報があるが日本語対応していないものも多い | △ < ○ | 業者によって差があるが為替情報が充実しているFX業者も多い |
利益に対する税金の分類 | 雑所得の総合課税 | △ < ○ | 申告分離課税 |
利益に対する税率 | 所得税:5%~45%(控除額あり) 住民税:10%(控除額あり) ※給与所得やFXの利益が少ない場合に有利 |
△ < ○ | 20%(所得税:15%、住民税:5%) ※給与所得やFXの利益が多い場合に有利 |
損失通算 | 他の総合所得との相殺が可能 | △ < ○ | 3年間の繰越控除 CFDやバイナリーオプション、商品先物、日経225先物、TOPIX先物などと損益通算可能 |
海外FXと国内FXの大きな違いをピックアップして解説
大きな違いその1.レバレッジ規制が違う
国内FX:レバレッジ規制あり
です。
海外FX業者は、外国の企業ですので、日本国内で営業行為をしなければ、レバレッジ規制を定めた金融商品取引法に規制されません。
レバレッジ規制では
個人投資家:最大25倍
法人投資家:変動(40倍~50倍程度)
となっていて、さらに法人投資家のレバレッジも引き下げる動きがあるぐらいです。
一方で海外FX業者は、レバレッジ規制の対象外ですから
相場:400倍~500倍
最大:3000倍
という設定となっています。個人投資家で200倍以上あれば十分なレバレッジ設定ですので、少額の資金しかない投資家でも、十分に大きな儲けを期待できる設定となっています。
判定
海外FXの方が有利。海外FXの方が大きく儲けられる可能性が高いのです。
大きな違いその2.追証・ゼロスカット未収金の扱いが違う
国内FX:追証あり(口座残高がマイナスになる投資家の借金になり国内FX業者が後から請求)
追証(おいしょう)とは、強制ロスカットになる前に設定された証拠金維持率を割り込んだら、追加で証拠金を差し入れるようにFX業者が要求する行為のことを言います。
また、相場の急変動時にFX業者の強制ロスカットが間に合わずに、口座残高の証拠金以上に損失を出してしまった場合、FX業者が後からマイナス分「ロスカット未収金」を投資家に請求する形になるのです。これも「追証」と呼び、投資家の借金になります。
ゼロカットシステムとは、この「ロスカット未収金」をFX業者が補填して、口座残高をマイナスからリセットして、ゼロにしてくれる仕組みです。海外FX業者が採用しています。
2015年1月15日 スイスフランショックでは
顧客区分 | 発生件数(件) | 発生金額(百万円) |
---|---|---|
個 人 | 1137件 | 19億4800万円 |
法 人 | 92件 | 14億4000万円 |
合 計 | 1229件 | 33億8800万円 |
という「追証(ロスカット未収金の返済義務)」が発生しているのです。
「追証(ロスカット未収金の返済義務)」はFX業者に対する投資家の借金(債務)
ですから
少なくとも2015年の1月は1000人以上の個人投資家が平均171万円の借金を一瞬にして背負った計算となります。
判定
海外FXの方が有利。ハイレバレッジトレードであっても、ゼロカットシステムがあるため、損失は証拠金の範囲内に限定されるのが海外FXの大きなメリットです。ハイレバレッジで、どんなに相場が急変動したとしても、投資家が負うリスクは証拠金の金額に制限されているのです。
大きな違いその3.取引方法が違う
海外FX:NDD取引(ノン・ディーリング・デスク)
国内FX:DD取引(ディーリング・デスク)
一般的にFXトレードで米ドル円に「買い」で1万通貨分エントリーしたら、FX業者も投資家の注文に合わせて1万ドルを日本円で購入していると思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、海外FX業者は実際に注文する方式「NDD取引」を採用しているのですが、国内FX業者は「注文を呑む」形での取引「店頭取引、相対取引」を採用しているため、実際に通貨の取引は行っていないのです。
「呑み」取引というのは
実際には買っていないのですから
- 友達の予想が外れれば、馬券代が自分の儲け
- 友達の予想が当たれば、払戻金が自分の損失
になるのです。
これと同じことを国内FX業者はしているのです。
実際に当たれば払い戻しはしてくれるので一見問題がないように見えますが、何が問題かというと投資家とFX業者の関係が利益相反の関係になってしまうことです。
- 海外FX業者:投資家が儲けて取引量を増やしてくれると儲かる
- 国内FX業者:投資家が負けて損してくれると儲かる
国内FX業者は、投資家に「負けて欲しい」「損してほしい」と思っているのです。
だからこそ、世界で最も普及している取引ツールのMT4を採用しているところは少なく、ブラックボックスにできる自社開発の独自ツールを採用し、ストップ狩りやレートずらし、故意のスリッページのうわさが絶えないのです。
意外かもしれませんが、取引方法という点だけで見ると透明性が高いのは、海外FX業者の方なのです。
海外FX業者は、投資家に儲けて欲しいので、ボーナスやトレードコンテスト、マーケットレポートやトレードシグナル、板情報が見れるECN口座、システムトレード、ソーシャルトレード、無料VPS、大口投資家向けの専用サービスと儲けるサポートするサービスを用意しているのです。
判定
海外FXの方が有利。パートナー関係にならない「利益相反」の国内FX業者は見えないところで損をしてしまうリスクがあります。
大きな違いその3.スプレッドが違う
国内FX:狭い
米ドル/円の相場で言えば
- 海外FX:平均1.0pips/変動スプレッド
- 国内FX:0.3pips~0.5pips/原則固定スプレッド
です。
ここまでお話すればお分かりの通りですが、実際に売買をしていない「呑み行為」の国内FX業者の方が取引していないのですから、コストがかからずスプレッドを狭く設定できるのです。
判定
国内FXの方が有利。スプレッドで比較するのであれば国内FX業者の方が良いのは、「呑み行為」の取引方法を採用している仕組み上、当然なのです。
大きな違いその4.税金が違う
国内FX:申告分離課税
2011年度税制改正修正法によって、日本国内のFX取引の税制が変わりました。
国内FXの場合は、「申告分離課税」を採用しているため
利益に対して一律20%(所得税15%、住民税5%)です。
また、
- 3年間、損失を繰り越せる「繰越控除」
- FDやバイナリーオプション、商品先物、日経225先物、TOPIX先物などの金融商品と「損益通算」可能
海外FXの場合は
利益は「雑所得」になるため、「総合課税」です。
総合課税というのは、給料や不動産収入などと同じ課税方法です。
2019年7月時点の所得税額
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
で計算されます。
所得は雑所得や給与所得、不動産所得などを合算されるため、海外FXの利益も、ここに含まれて合算で課税される仕組みです。
この所得税とは別に住民税10%が入ってきます。
判定
国内FXの方が有利。税金で言えば国内FXの方が大分有利になります。給料が少ない方、FXの儲けが小さい方は総合課税の方が税率が申告分離課税の20%よりも小さくなりますが、大抵の方は住民税も含めれば20%を超えるので、海外FXの税金は割高になってしまいます。3年間の損失通算もできないことに注意が必要です。
大きな違いその5.信用の違い
国内FX:知名度が高いFX業者であれば信用力は高い
勘違いしていただきたくないのは
「海外FX業者 = 怪しい企業ではない」ということです。
日本の金融庁に登録している国内FX業者が信頼できるのと同じで、海外FX業者も本社のある国の金融監督庁のライセンスを保有していれば信頼性は高いのです。ワールドワイドで世界数十か国にサービス展開し、何百万人という顧客を抱えている海外FX業者も多くあるのです。
信頼性が低いのはどこの国の金融ライセンスも保有していない無登録業者です。ちなみに日本国内にも、無登録業者というものはあります。
また、信託保全も日本国内のFX業者は義務化されていますが、海外FX業者は、任意ですので海外FX業者の経営方針次第となります。
判定
国内FXの方が有利。金融ライセンスの有無によって信頼性が異なるのは、海外FX業者でも、国内FX業者でも、同様です。しかし、信頼性を判断するに足る情報を取得しやすいのは国内FX業者ですから、その分国内FX業者の方が有利になります。
まとめ
海外FXと国内FXの比較を総括して「海外FXとは」についてまとめると
海外FXとは
- ハイレバレッジトレードが可能なので資金が少なくても大きく儲けられる可能性がある
- 損失が証拠金の範囲内限定できる。証拠金以上の損はない
- 投資家と海外FX業者はパートナー関係なので、投資家が儲けるためのサービスが多く用意されている
というメリットを持っているが
国内FXと比べると
- スプレッドが広い
- 税金が割高になる
- 信頼性は劣る
というデメリットも持ち合わせているものです。
「国内FXと何が違うの?」
「知り合いの投資家が海外FXをやっていると言っていたが、なぜなのだろう?」
・・・