海外FX業者は「STP口座」と「ECN口座」を両方提供しているケースが多く、海外FXの口座開設時にどれにすれば良いのか?悩んだ方も多いのではないでしょうか。今回は、正確に理解されていない「海外FXのECN口座とSTP口座の違い」について図解して比較します。あなたが選ぶべき口座の種類がわかります。
ECN口座とSTP口座の仕組みの違い
国内FX業者が採用している「相対取引」
国内FX業者が採用しているのは「相対取引(OTC取引/店頭取引/DD取引)」です。
相対取引とは
リスクを抑えるためにカバー取引をするケースはあるものの、スプレッドの狭い国内FX業者は9割以上の注文はそのまま「呑む」ので、インターバンク市場での取引はほとんどなく、国内FX業者と投資家と一対一での取引のみです。
相対取引の仕組み
投資家の注文をFX業者が「呑み」ます。実際に通貨の売買は行われず
- 投資家に損失がでれば → 国内FX業者の儲け
- 投資家に利益が出れば → 国内FX業者の損失
となります。
投資家ごと、注文ごとに一部の注文に対してカバー取引を実行しています。カバー取引とは、「呑む」ことによる損失がでないようにインターバンク市場に対して、引き受けた注文と同じ注文を行うのです。
国内FX業者は運用成績の良い投資家と運用成績の悪い投資家を判別するシステムを持っていて、運用成績の良い投資家の注文はそのまま「呑む」とFX業者の損失になっているためカバー取引をし、運用成績の悪い投資家の損失はそのまま利益になるので「呑む」のです。
海外FX業者が採用しているのは「NDD取引」
NDD取引とは?
を言います。
STP口座の「STP取引」
STP取引とは
を言います。
STP取引の仕組み
海外FX業者の場合、インターバンク市場に参加している複数のLP(リクイディティープロバイダー)(銀行や金融機関)から、レートの提示を受けています。
銀行によっても通貨の需要は異なるので「この金額だったら買うよ。(ASK)」「この金額だったら売るよ。(BID)」の価格も、銀行ごとに異なるのです。
海外FX業者のSTP取引システムでは
投資家が「買い」注文をした場合
→ 複数のBID(売値)の中で一番安い売値を提示した価格で取引成立
投資家が「売り」注文をした場合
→ 複数のASK(買値)の中で一番高い買値を提示した価格で取引成立
ということを全自動で行っているのです。全自動だから、STP取引も、NDD取引ということになります。
海外FX業者は、一番有利な価格を採用した上で、自社が設定した手数料をスプレッドとしてマークアップ(上乗せ)します。
STP取引は通常、取引手数料無料ですので、この「マークアップ分」のみが海外FX業者の収益となります。
ECN口座の「ECN取引」
ECN取引とは
ECNは「Electronic Communications Network」の略で、直訳すれば「電子取引所取引」です。日本人に身近なところでは株式投資に採用されている取引方法です。
インターネット上に取引所があり、そこに市場参加者が自由に「買い注文」「売り注文」を提示することで、同じ価格で「売り」「買い」注文があってはじめて売買が成立します。
築地市場でやっているセリをインターネット上でやっているイメージです。
ECN取引の仕組み
投資家は、海外FX業者を通じて「電子取引所」にアクセスして注文をします。
「買い」注文をしたのであれば、同じ価格で「売り注文」を出している方がいたときにはじめて取引が成立するのです。
この電子取引所取引には、銀行も参加していますし、機関投資家も、個人投資家も、参加しています。
参加者が多くなればなるほど、流動性が高くなりスプレッドが狭くなる一方で、参加者が少ないとなかなか売買が成立しないデメリットがあります。
また、投資家にとっては「注文が電子取引所にどのくらい集まっているのか?」を「板情報」として確認できるメリットがあります。
海外FX業者は、STP取引のようにスプレッドにマークアップ(上乗せ)はせず、外付けで取引手数料をもらう形で収益化します。投資家にとってはマークアップ(上乗せ)しないのでスプレッドは狭くなりますが、取引手数料が発生します。
「DD取引(相対取引)」「NDD取引」「STP取引」「ECN取引」の関係
FX全体で見ると大きく分かれるのは
- DD取引(相対取引)か?
- NDD取引か?
です。
- DD取引(相対取引) → 国内FX業者が採用
- NDD取引 → 海外FX業者が採用
しています。
あまり知られていませんが、国内FX業者も、以前は海外FX業者のホワイトラベル(代理店)として、FXサービスを提供していました。カバー取引のために海外FX業者を利用することもあります。
プロ向けに近いのが「ECN取引」
インターバンク市場(金融機関同士の取引市場)では、参加している金融機関同士が競市のように「買値」「売値」を提示して、価格が合致したときに売買が成立する取引をしています。
さらに初心者にもわかりやすくしたのが「STP取引」であり、複数の大手LP(リクイディティープロバイダー)からレートをもらって、有利な価格で自動的に投資家の注文を成約させる方式になります。
「国内FX口座(相対取引)」「STP口座」「ECN口座」のメリットデメリット比較
比較項目 | 国内FX口座 (相対取引) |
STP口座 | ECN口座 |
---|---|---|---|
板情報 | 見れない | 見れない | 見れる |
気配値 | 見れない | 見れない | 見れる |
透明性 | ブラックボックス | NDD取引なので やや高い |
高い |
スプレッド | 狭い | 広い | 狭い |
取引手数料 | 無料 | 無料 | 有料 |
約定力 | 低い | 高い | 高い (市場参加者に左右される) |
リクオート(約定拒否) | 起こる | ほぼない | ない |
STP口座を選ぶメリット
取引手数料無料
STP口座はほとんどの場合「取引手数料無料」で「マークアップ(上乗せ)されたスプレッド」のみがトレードコストになります。
高い約定力
STPの場合は、海外FX業者が提携しているLP(リクイディティープロバイダー)の数と質に左右されてしまいますが、ほとんどの海外FX業者は主要な金融機関からレート提示を受けているため、約定率も1秒間に99%を超えている業者がほとんどですので、約定力は高いと考えて良いでしょう。
ECN口座のメリット
スプレッドが狭い
ECN口座では、海外FX業者がスプレッドにマークアップ(上乗せ)をしないので、最小は0.0pipsから、広がっても0.数pipsで納まることが多く狭いスプレッドが実現されます。
トレードコストが安い
取引手数料を含めても、STP口座よりもトレードコストが安くなる口座が多くなっています。また、取引手数料でコストが見えているので、トレード戦略の組み立てもしやすいメリットがあります。
板情報・気配値が見れる
前述した通りで、ECN口座は電子取引所取引で「買い注文」「売り注文」を市場参加者同士が出し合う仕組みとなっています。
ECN口座のトレードプラットフォームでは「板情報」「気配値」で、市場参加者がどういう注文を入れているのか?相手の情報を知ることができるのです。
例:cTrader「ECN」プラットフォーム
FXトレードにおいて「市場参加者がどちらのポジションに傾いているのか?」を知ることは、非常に重要なことなのです。
STP口座を利用している投資家
チャートの推移 → 市場参加者の意図を読み取る
ECN口座を利用している投資家
チャートの推移・板情報 → 市場参加者の意図を読み取る
というように判断材料が増えるのです。
市場参加者が多いECNプラットフォームは約定力が高い
ECN口座の約定力は市場参加者の数と質によって決まってきます。
大抵のECN口座ではLPや機関投資家も電子取引所取引に参加しているので、流動性が不足するということはまずありませんが、市場参加者の数と質が高いほど、流動性は高くなり、約定力も高くなるのです。板情報のデータの精度も、参加者が多い方が正確に市場を反映してくれるのです。
ECN口座にデメリットはあるの?
ECN口座の方が最低入金額などのハードルが高い設定
ECN口座の方がSTP口座よりもプロ向きの設定ですので
- 最低入金額が高い
- 最低取引ロットが1万通貨
- 最大レバレッジが低め
というように「STP口座」よりも、条件が厳しく設定されているものが多いのです。
MT4ではECN口座のメリットは最大限発揮されない
ECN口座は「cTrader」など板情報の機能が十分に備わったトレードプラットフォームの方が適しています。MT4対応のECN口座というのもあるのですが、ECN口座のメリットである「板情報」が見れないなどのデメリットもあり、ECN口座の場合はcTraderなどの方が良いのです。
しかし、使い慣れたMT4でないトレードプラットフォームを利用しなければならないというのは一つのデメリットと言えます。慣れてしまえば、それほど不具合を感じるものではありません。
STP口座とECN口座のトレードコスト比較の方法
STP口座とECN口座でトレードコストを比較する方法を解説します。
STP口座
- 取引手数料:無料
- スプレッド:あり
ECN口座
- 取引手数料:有料
- スプレッド:あり
ということになります。
しかし、「取引手数料(ドル)」と「スプレッド(pips)」は単位が違うので合わせなければ足し算ができません。
例
- 取引手数料(片道):3ドル
- 平均スプレッド:0.5pips
のECN口座のトレードコストは
トレードコスト = 0.5pips + 0.3pips × 2(往復にするため) = 1.1pips
ということになります。
ECN口座のトレードコストを合算するときに重要なのは
取引手数料を「往復」にしなければならない
ということです。
最近では、安く見せたいがために取引手数料を「片道」表記にしている海外FX業者も増えています。しかし、スプレッドは「買う」時と「売る」時の価格差ですから、はじめから「往復」なのです。取引手数料も「往復」にあわせる必要があります。
実際に測定したスプレッドをSTP口座とECN口座で比較
ECN口座とSTP口座、あなたはどちらを選ぶべき?
STP口座がおすすめの方
- 海外FX初心者の方
- 取引量や取引金額が少ない方
- 板情報がわかっても、トレードに生かせない方
- MT4以外は利用したくない方
ECN口座がおすすめの方
- ある程度の海外FX経験がある方
- 取引量や取引金額が多い方
- 板情報をトレードに生かせる方
- トレードコストを少しでも安くしたい方
STP口座、ECN口座の中でおすすめの口座ランキング
ECN口座でおすすめの海外FX業者
口座の種類 | ナノ口座/MT4/ECN |
取引手数料 (pips換算:片道) | 0.30 |
最小スプレッド 米ドル/円 | 0.10 |
平均スプレッド 米ドル/円 | 0.60 |
最大レバレッジ | 400倍(~10万ドル) 300倍(~20万ドル) 200倍(20万ドル~) |
約定力 | 約定率:99.97% スリッページ平均:0.039pips 約定スピード:202.42m/sec |
最低入金額 | 2万円相当 |
口座の種類 | Zeroスタンダード口座/STP |
取引手数料 (pips換算:片道) | 0.00 |
最小スプレッド 米ドル/円 | 1.00 |
平均スプレッド 米ドル/円 | 1.33 |
最大レバレッジ | 500倍 |
約定力 | ミリ秒単位の約定スピード |
最低入金額 | 2万円相当 |
口座の種類 | スタンダード口座/MT4/STP |
取引手数料 (pips換算:片道) | 0.00 |
最小スプレッド 米ドル/円 | 1.10 |
平均スプレッド 米ドル/円 | 1.60 |
最大レバレッジ | 400倍(~10万ドル) 300倍(~20万ドル) 200倍(20万ドル~) |
約定力 | 約定率:99.97% スリッページ平均:0.039pips 約定スピード:202ms |
最低入金額 | 2万円相当 |
ECN口座海外FX業者比較
人気ランキング | 海外FX業者名 | 口座の種類 | 取引手数料 (片道) | 取引手数料 (pips換算:片道) | スプレッド種類 | 最小スプレッド 米ドル/円 | 最小スプレッド ユーロ/円 | 平均スプレッド 米ドル/円 | 平均スプレッド ユーロ/円 | 最大レバレッジ | 約定力 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | XMTrading | ゼロ口座/ECN | 5ドル | 0.50 | 変動 | 0.00 | 0.00 | 0.10 | 0.40 | 500倍(~2万ドル) 200倍(2万ドル~) 100倍(10万ドル~) | 99.35%を1秒以内に約定 執行率100% リクオート・注文拒否なし |
2位 | AXIORY | ナノ口座/MT4/ECN | 3ドル | 0.30 | 変動 | 0.10 | 0.30 | 0.60 | 0.80 | 400倍(~10万ドル) 300倍(~20万ドル) 200倍(20万ドル~) | 約定率:99.97% スリッページ平均:0.039pips 約定スピード:202.42m/sec |
2位 | AXIORY | ナノ口座/cTrader/ECN | 3ドル | 0.30 | 変動 | 0.10 | 0.30 | 0.60 | 0.80 | 400倍(~10万ドル) 300倍(~20万ドル) 200倍(20万ドル~) | 約定率:99.97% スリッページ平均:0.039pips 約定スピード:202.42m/sec |
2位 | AXIORY | テラ口座/MT5/ECN | 3ドル | 0.30 | 変動 | 0.10 | 0.30 | 400倍(~10万ドル) 300倍(~20万ドル) 200倍(20万ドル~) | 約定率:99.97% スリッページ平均:0.039pips 約定スピード:202.42m/sec |
||
3位 | TitanFX | Zeroブレード口座/ECN | 3.5ドル | 0.35 | 変動 | 0.00 | 0.00 | 0.33 | 0.74 | 500倍 | ミリ秒単位の約定スピード |
4位 | LAND-FX | ECN口座/ECN | 3ドル | 0.30 | 変動 | 0.00 | 0.10 | 0.40 | 0.80 | 1000倍 | 約定スピード0.035秒 |
6位 | Exness | プロ口座/ECN | 無料 | 0.00 | 変動 | 0.70 | 1.20 | 無制限 | |||
7位 | FBS | ECN口座/ECN | 6ドル | 0.60 | 変動 | 1.00 | 2.00 | 3.00 | 5.00 | 500倍 | 95%以上のオーダーが0.4秒以内に執行 |
9位 | TRADEVIEW | ILC口座(MT4)/ECN | 2.5ドル | 0.25 | 変動 | 0.00 | 0.60 | 0.80 | 100倍 | ||
9位 | TRADEVIEW | cTrader口座/ECN | 2.5ドル | 0.25 | 変動 | 0.00 | 0.60 | 0.80 | 400倍 | ||
11位 | fxgt | ECN口座/ECN | 6ドル | 0.60 | 変動 | 0.10 | 0.50 | 1000倍(~30万ドル) 500倍(~100万ドル) 200倍(~200万ドル) 100倍(~300万ドル) 50倍(~500万ドル) 20倍(500万ドル~) | - | ||
13位 | BigBoss | スタンダード口座/ECN | 無料 | 0.00 | 変動 | 1.20 | 1.50 | 1.30 | 1.70 | 1111倍(~2万ドル) 555倍(2万ドル~) 200倍(5万ドル~) 100倍(10万ドル~) | |
13位 | BigBoss | プロスプレッド口座/ECN | 4.5ドル | 0.45 | 変動 | 0.00 | 0.00 | 0.20 | 0.50 | 1111倍(~2万ドル) 555倍(2万ドル~) 200倍(5万ドル~) 100倍(10万ドル~) | |
14位 | FocusMarkets | Raw口座/ECN | 3.5ドル | 0.35 | 変動 | 0.00 | 0.10 | 1000倍 | 平均約定スピード2.3m | ||
16位 | SvoFX | Professional口座/ECN | 2ドル | 0.20 | 変動 | 0.20 | 0.60 | 100倍 | - | ||
17位 | IronFX | ライブゼロスプレッド口座/ECN | 6.75ドル~ | 0.68 | 変動 | 0.00 | 0.00 | 500倍 | スリッページなし 取引の99.62%が1000分の1秒以内に実行 成行注文は取引の100%が1000分の1秒以内に実行 |
||
17位 | IronFX | STP/ECN口座手数料なし/ECN | 無料 | 0.00 | 変動 | 1.60 | 1.60 | 500倍 | スリッページなし 取引の99.62%が1000分の1秒以内に実行 成行注文は取引の100%が1000分の1秒以内に実行 |
||
17位 | IronFX | STP/ECN口座ゼロスプレッド口座/ECN | 6.75ドル~ | 0.68 | 変動 | 0.00 | 0.00 | 500倍 | スリッページなし 取引の99.62%が1000分の1秒以内に実行 成行注文は取引の100%が1000分の1秒以内に実行 |
||
17位 | IronFX | STP/ECN口座アブソルートゼロ口座/ECN | 6.75ドル~ | 0.68 | 変動 | 0.30 | 0.30 | 500倍 | スリッページなし 取引の99.62%が1000分の1秒以内に実行 成行注文は取引の100%が1000分の1秒以内に実行 |
||
17位 | IronFX | ECNアブソリュートゼロ口座/ECN | 無料 | 0.00 | 変動 | 5.40 | 9.00 | 500倍 | スリッページなし 取引の99.62%が1000分の1秒以内に実行 成行注文は取引の100%が1000分の1秒以内に実行 |
||
19位 | Vantage | ECN口座/ECN | 3ドル | 0.30 | 変動 | 0.40 | 1000倍 | 執行率99.99% | |||
19位 | Vantage | プロECN口座/ECN | 1.5ドル | 0.15 | 変動 | 0.40 | 1000倍 | 執行率99.99% | |||
21位 | FXDD | プレミアム口座/ECN | 2.99ドル (4.99ドル) | 0.30 | 変動 | 0.20 | 0.93 | 1.24 | 1.67 | 500倍 | 99%以上の執行率 |
22位 | FXopen | ECN口座/ECN | 無料 | 0.00 | 変動 | 0.00 | 0.00 | 3.10 | 5.20 | 500倍 | |
25位 | FXPRIMUS | ECNプレミア口座/ECN | 5ドル | 0.50 | 変動 | 0.40 | 0.40 | 0.60 | 0.60 | 30倍 | |
26位 | FxPro | Raw+口座/ECN | 3.5ドル | 0.45 | 変動 | 0.00 | 0.40 | 0.50 | 0.90 | 1000倍 | 注文の99.9%が42ミリ秒以内に約定 スリッページの発生率5.19% |
26位 | FxPro | エリート口座/ECN | 4.5ドル | 0.45 | 変動 | 0.00 | 0.40 | 0.50 | 0.90 | 1000倍 | 注文の99.9%が42ミリ秒以内に約定 スリッページの発生率5.19% |
「STP口座との違いは?」
「私はどちらを選べば良いの?」
・・・