はじめて、海外FXをやろうとした方がまず理解しなければならないのは「pips(ピップス)」という単位についてです。今回は、海外FXの「pips(ピップス)」について解説します。
pips(ピップス)とは?
pips(ピップス)とは
を言います。
日本の国内FX業者で、対日本円の通貨ペアの場合は
DMM FX
USD/JPY
- Bid 110.868
- Ask 110.871
- スプレッド 0.3
ですので、もう少しわかりやすく表現すると
- Bid(売値) 1ドル=110.868円
- Ask(買値) 1ドル=110.871円
- スプレッド 0.3銭
となります。
日本円であれば
となります。
※「pips」は「pip」の複数形ですので、本来は、1の場合は「pip」を使うべきですが、単位なので「1pips」と表現することも多いのです。
確かに
- Bid(売値) 1ドル=110.868円
- Ask(買値) 1ドル=110.871円
となっていた場合は
最小取引単位は「小数点第3位」の「8」や「1」です。
実は、以前はFXトレードでは
- Bid(売値) 1ドル=110.86円
- Ask(買値) 1ドル=110.87円
「小数点第2位」までしか表示していないことが一般的だったのです。
しかし、FX業者の乱立とスプレッドの低下競争のあおりで、スプレッド自体が「0.3銭」「0.5銭」といった、最小取引単位よりも小さくなってしまったのです。
結果として、多くのFX会社では「小数点第3位」まで表示することが増え
- Bid(売値) 1ドル=110.868円
- Ask(買値) 1ドル=110.871円
と表示するようになったのです。
FX業者によっては、「小数点第3位」はおまけなので、「小数点第2位」よりも小さく表示するケースがあります。
そのため、現時点では
というのは、あまり正しくなく
と言えるのです。
確かにそうですが・・・
通貨ペアが「ユーロ/米ドル」の場合はどうすれば良いでしょうか。
- Bid(売値) 1ユーロ=1.17671ドル
- Ask(買値) 1ユーロ=1.17675ドル
- スプレッド 0.4
となっています。
- 1ドル = 100セント
ですから、「ユーロ/米ドル」のスプレッドは0.004セントということになります。日本円が絡んでいないのに「銭」を使うことはできないのです。
1pipsを各国の通貨に当てはめると・・・
日本円 | 0.01円 | 1銭 |
---|---|---|
米ドル | 0.0001米ドル | 0.01セント |
ポンド | 0.0001ポンド | – |
豪ドル | 0.0001豪ドル | – |
NZドル | 0.0001NZドル | – |
スイスフラン | 0.0001スイスフラン | – |
FXトレードでトレードできる通貨ペアは
- 国内FX業者で20通貨ペア以上
- 海外FX業者で50通貨ペア以上
選択できる通貨ペアがこれだけ多いのですから、通貨ペアごとにその国の通貨でスプレッドを表記していたら、それこそ混乱してしまいます。
FXトレードでは「共通の単位」が望ましいのです。
そのため、「pips(ピップス)」を共通単位として、
と呼ぶのです。
つまり、
「米ドル/円」の通貨ペア
- Bid(売値) 1ドル=110.868円
- Ask(買値) 1ドル=110.871円
- スプレッド 0.3pips
「ユーロ/米ドル」の通貨ペア
- Bid(売値) 1ユーロ=1.17671ドル
- Ask(買値) 1ユーロ=1.17675ドル
- スプレッド 0.4pips
となります。
1pipsの儲けは何円?
FXトレードで、友達の投資家が
「120pips勝った。」
なんて、会話を聞いたときに
と思ってしまうかもしれません。
「米ドル/円」の通貨ペアを思い出してみると
- Bid(売値) 1ドル=110.868円
- Ask(買値) 1ドル=110.871円
- スプレッド 0.3pips
ですから、
1ドル(1通貨)のFXトレードをしていたとしたら
ということになります。
FXトレードでは、一番小さい取引量でも
- 国内FX業者の場合:1通貨
- 海外FX業者の場合:10通貨
ですから、取引量によって「1pipsの儲け」というのは変わってくるのです。
「米ドル/円」の1pipsの儲け
- 10通貨 → 10銭の儲け
- 100通貨 → 1円の儲け
- 1,000通貨 → 10円の儲け
- 10,000通貨 → 100円の儲け
- 100,000通貨 → 1,000円の儲け
ということになります。
「米ドル/円」の1pipsの儲け早見表
取引通貨量 | 1pips | 10pips | 100pips | 1,000pips |
---|---|---|---|---|
10通貨 | 0.1円 | 1円 | 10円 | 100円 |
100通貨 | 1円 | 10円 | 100円 | 1,000円 |
1,000通貨 | 10円 | 100円 | 1,000円 | 10,000円 |
10,000通貨 | 100円 | 1,000円 | 10,000円 | 100,000円 |
100,000通貨 | 1,000円 | 10,000円 | 100,000円 | 1,000,000円 |
国内FX業者の場合
※多くの国内FX業者が1,000通貨の取引を可能にしています。
SBI FXトレード
1通貨からの取引が可能です。
海外FX業者の場合
※MT4/MT5の場合、0.01ロット(1,000通貨)からの取引が可能になっています。
XM
10通貨からの取引が可能です。(1ロット=1,000通貨のマイクロ口座なら、0.01ロットからの取引が可能なので、10通貨ということになります。)
pips計算機の使い方
「1pipsの儲けがやっぱりよくわからない。」という方には、pips計算機というpipsの価値を計算するシミュレーターを利用する方法もあります。
- Pip Amount: 何pipsの儲けを計算したいのか?
- Trade Size: 取引量は何ロットか?(1ロット=10万通貨)(1ユニット=1通貨s)
- Currency Pair: どの通貨ペアを選ぶのか?
- Results In: 計算結果はどの通貨で表示したいのか?
です。
これで計算してみると・・・
「米ドル/円」1ロット(10万通貨)のトレードで1pipsの儲けの価値は?
日本円で1,000円
「米ドル/円」1000通貨のトレードで1pipsの儲けの価値は?
日本円で10円
「ユーロ/米ドル」1ロット(10万通貨)のトレードで1pipsの儲けの価値は?
米ドルで10ドル
このぐらいまでは、pipsを覚えればわかるのですが・・・
マイナー通貨同士の通貨ペアで日本円の価値を知りたい場合には「pips計算機」が重宝されます。
「英ポンド/豪ドル」0.1ロット(1万通貨)のトレードで1pipsの儲けの価値は?
日本円で83.4円
「ユーロ/NZドル」0.1ロット(1万通貨)のトレードで1pipsの儲けの価値は?
日本円で76.6円
「1pipsがいくらか?」の概念に慣れる方法
「1pipsがいくらか?」を理解するのは簡単です。
FXトレードをするのであれば、大抵の場合トレードスタイルを決めるので
- 自分のトレードする「通貨ペア」
- 自分のトレードする「取引通貨量」
は決まってきます。
前述したpips計算機を利用して
自分のトレードする「通貨ペア」
自分のトレードする「取引通貨量」
の場合、「1pipsいくらなのか?」だけ調べておけば
あとは、掛け算でいろいろなケースに展開できます。
例えば
- 自分のトレードする「通貨ペア」:米ドル/円
- 自分のトレードする「取引通貨量」:1万通貨
であれば
- 1pips = 100円
です。
これだけ覚えておけば
「20pipsの利益が出た。」
→ 20pips × 100円 = 2,000円
→ 2,000円儲かった
「1回のトレードの損失を1,000円にしたい。」
→ 1,000円 / 100円 = 10pips
→ 10pipsを損切ラインにして、ストップ注文を入れれば良い
「今回のトレードは自信があるから、5万通貨のポジションを持って、20pips確保したい。」
→ 100円 × 5倍 × 20pips = 10,000円の利益
→ 5万通貨で20pips確保すれば、1万円の利益が出る
と展開して、考えることができます。これは小学生で習う四則計算だけで済みます。
- トレードする通貨ペアを変える、増やす
- トレードする通貨量を増やす
という場合には、再度「1pipあたりの儲け」を計算して、頭の中を更新しておけば、対応できるはずです。
pips表記の注意点
FX業者の中には、稀に「pips」の単位が違うケースがある!?
例:ヒロセ通商のとクリック注文画面
Bid(売値) 1ドル=110.838円
Ask(買値) 1ドル=110.848円
となっていますが、右側に「pip損益:‐10」となっているかと思います。
あれっ
今までの1pipsの概念で言うと
ですから、
本来は「pip損益:‐1」でないとおかしいのです。
これは、ヒロセ通商が
という以前の法則を踏襲しているからなのです。
この場合「銭」で表現するのであれば、違いはありませんが、pipsの捉え方に違いがあるため、「pips」で判断すると、結果が変わってきてしまうのです。
稀にこのようなFX業者があるので注意が必要です。
海外FX業者、ほとんどは共通の概念で「pips」を記載しているので、問題は起こりません。
まとめ
pips(ピップス)とは
- FXトレードで利用される通貨の最小単位のこと
を言います。
ただし、以前は、FX業者のレート表記が日本円の場合「小数点第2位まで」、米ドルの場合「小数点第4位まで」というのが一般的だったのですが、最近ではスプレッドの低下競争の影響もあり、日本円の場合「小数点第3位まで」、米ドルの場合「小数点第5位まで」表示させるFX業者が増えてきました。
結果として
pips(ピップス)とは
- FXトレードで利用される通貨の最小単位の一つ上の桁のこと
となっているのです。
つまり、日本円の通貨ペアであれば
- 小数点第2位 → 1pipsの桁
- 小数点第3位 → 0.1pipsの桁
となります。
ただし、一部のFX業者は「FXトレードで利用される通貨の最小単位のこと」を踏襲しているため
- 小数点第2位 → 10pipsの桁
- 小数点第3位 → 1pipsの桁
となっているFX業者もあるので注意が必要です。
1pipsの儲けは、取引通貨量によって変ってきます。
「米ドル/円」の通貨ペアであれば
1pipsの儲け
- 10通貨 → 10銭の儲け
- 100通貨 → 1円の儲け
- 1,000通貨 → 10円の儲け
- 10,000通貨 → 100円の儲け
- 100,000通貨 → 1,000円の儲け
となります。
pipsの儲けの計算は、日本円関連の通貨ペアであれば、わかりやすいのですが、それ以外の通貨ペアの場合は「pips計算機」などを利用するのが手っ取り早い方法です。
pipsの計算を頭にいれるためには
- 自分のトレードする通貨ペア
- 自分のトレードする取引通貨量
での「1pipsあたりの儲け」を計算した上で、状況に応じて「掛け算」「割り算」を駆使して、対応しましょう。慣れてくれば、自然と「pipsの概念」が身についてくるはずです。当サイトでも、FXトレードの書籍などを見ても、FXのセミナーでも、投資家同士の会話の中でも、ほとんどのケースで「pips」が登場してきます。「pipsの概念」を正確に理解して、FFX関連の情報を理解できるようにする必要があります。
「ピップスの概念が理解できない。」