と、海外FXに脅威はあるけど、法律的なところで不安を感じている投資家の方も多いのではないでしょうか?今回は海外FXの違法性について解説します。
金融庁の海外FXへの見解
無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください
金融商品取引法に基づく登録を受けていない海外所在業者が、インターネットに日本語ホームページを開設する等により、外国為替証拠金取引(FX取引)や有価証券投資等の勧誘を行っている例が見受けられます。
また最近、海外所在の無登録業者と、インターネットサイトを通じて、為替のバイナリーオプション取引※を行い、トラブルになっている例も見られます。
となっており、海外所在の無登録業者の一覧には
- FBS Markets Inc.
- FxPro Financial Services Ltd(FxPro)
- FxPro UK Limited(FxPro)
- IronFX Limited(ironforex)
- Pepperstone Financial Pty Ltd(Pepperstone)
- FXDD Malta Limited(FXDD)
- IFC Markets Corp. UK(IFC Markets)
- iFOREX Co.,Ltd.(iFOREX)
・・・
と当サイトでも紹介している200社以上の海外FX業者が記載されていたりします。
金融庁が掲載しているのは
日本の金融商品取引業の無登録業者
です。
金融商品取引業では
こととなっております。
金融商品取引法に登録した業者のことを「金融商品取引業者」と呼ぶのです。
当然、日本国内のFX業者や証券会社などは「金融商品取引業者」の登録をしています。
例:DMM FX
- 第一種金融商品取引業者/第二種金融商品取引業者
- 関東財務局長(金商)第1629号
- 商品先物取引業者
というようにウェブサイト上に登録番号を掲載しているのです。
FX関連の登録には下記のものがあります。
- 第一種金融商品取引業者 → FX、証券会社が登録
- 第二種金融商品取引業者 → ファンド、信託受託権の売買
- 投資運用業 → 投資契約による資産運用
- 投資助言・代理業 → 金融商品への投資助言、代理販売
2000年代から、IT系のFX会社が数多く登場しました。当然、大企業もあれば、数名でやっている零細企業もあり、顧客の資金管理などの基準もバラバラですから、それを規制するために金融当局(財務省)が金融商品取引法で規制をはじめたのです。
2005年から
ことになっています。
ここで明確にしておくべきことは
ということです。
海外FX業者の中にも
- 金融商品取引業者として登録している業者(例:OANDA JAPAN)
- 金融商品取引業者として登録していない業者(例:XMなど当サイトで紹介している海外FX業者)
の2種類があります。後者の方が圧倒的に数が多いのです。
「無登録業者」でトレードをしたとしても、投資家には違法性・罰則はない。
=
「海外FX業者」でトレードをしたとしても、投資家には違法性・罰則はない。
ということになります。
だけなのです。
行政処分の例
平成29年8月4日
証券取引等監視委員会○○証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
1.勧告の内容
関東財務局が○○証券株式会社(東京都中央区、法人番号○○証券株式会社、代表取締役○○証券株式会社○○証券株式会社 資本金○○証券株式会社億円、常勤役職員○○証券株式会社名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
2.事実関係
(1) 実勢を反映しない作為的相場が形成されることになることを知りながら有価証券の売買取引の受託等をする行為
(2)作為的相場形成となる有価証券の売買取引の受託等を防止するための売買管理が十分でないと認められる状況
上記(1)の行為は、金融商品取引法第38条第8号の規定に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第20号に該当するものと認められる。
また、上記(2)については、金融商品取引法第40条第2号の規定に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第12号に該当するものと認められる。
行政処分ですから「営業停止処分」などが課されることになるのです。
日本の無登録業者ならいざ知らず、海外に本社がある海外FX業者に「行政処分」と言っても、何の効力もありませんから
金融当局は、海外の金融監督庁に対して
という圧力をかけることになるのです。
金融当局のお願いを聞き入れた海外の金融監督庁は
その国での営業停止処分を課すことになり
海外FX業者は
という対応を取るのです。
海外企業のサービスを使うのは自己責任
本来、海外に本社がある会社のサービスについて、日本の監督官庁が口出しするのはおかしなことです。
例えば
イギリスに海外旅行に行って宿泊するイギリスのホテルは、日本のホテルや旅館の開業に必要な「旅館業営業許可」の許可は持っていませんよね?
イギリスのホテルの営業ライセンスはもらっているはずです。
日本の「旅館業営業許可」のルールに即していないから、イギリスのホテルに厚生労働省がクレームを入れるなんてできるはずがないのです。
イギリスのホテルに宿泊したことでトラブルに遭ったとしても、それは旅行者の自己責任なのです。
海外FXも同じ理屈です。
日本国内のFX会社の本音
このままだと顧客がハイレバレッジトレードができる海外FX業者に流れてしまう!
なんで俺たちだけ!」
というものです。
国内FX業者と海外FX業者は、投資家という同じ顧客を奪い合うライバルです。
- 国内FX業者 → 厳しい規制
- 海外FX業者 → 自由・取り締まりできない
だと、国内FX業者が不公平感を感じるのはよくわかります。
金融当局としては、国内FX業者に対して
という姿勢を見せなければならないのです。
もう一度、金融庁のウェブサイトの文言を見てみるとわかるのですが・・・
金融商品取引法に基づく登録を受けていない海外所在業者が、インターネットに日本語ホームページを開設する等により、外国為替証拠金取引(FX取引)や有価証券投資等の勧誘を行っている例が見受けられます。
また最近、海外所在の無登録業者と、インターネットサイトを通じて、為替のバイナリーオプション取引※を行い、トラブルになっている例も見られます。
と
って結構むちゃくちゃな理論を展開しているのです。
最近では
- 日本語のウェブサイトを作らない
- その代わりに、管理画面は日本語で、日本人スタッフもいて、日本人向けにサービス展開をしている
海外FX業者も増えてきているぐらいです。
金融当局も
と思っているのです。
金融庁のウェブサイトの文言は
「違法ですよ。」ではなく、「注意してください。」でしかないのです。
結論
ことになります。
海外FX業者を比較検討するときは、その国の金融監督庁の営業許可は重要になる!
海外FX業者でFXトレードをしても違法性はない
≠
どの海外FX業者でFXトレードをしても安全
です。
海外FX業者でFXトレードをしても違法性はありませんが、そこでトラブルに遭っても「自己責任」であることも同時に認識しておく必要があります。
「金融商品取引業者」の登録をするためには、金融当局の監査をクリアしなければなりません。
日本の金融当局の監査では、主に下記の項目で監査が行われます。
金融当局の監査ポイント
共通
- 経営管理態勢
- 法令等遵守態勢
- 内部管理態勢
- 監査態勢
- 危機管理態勢
- 内部管理態勢
- リスク管理態勢
- 自己資本規制関連リスクの管理態勢
- 事務リスク管理態勢
- システムリスク管理態勢
- その他リスク管理態勢
- 監査等態勢
- 大規模かつ複雑な業務をグループ一体として行う証券会社グループのリスク
- 管理態勢等
- 特別金融商品取引業者の連結自己資本規制関連リスクの管理態勢
- 最終指定親会社の連結自己資本規制関連リスクの管理態勢
- 最終指定親会社の流動性規制関連リスクの管理態勢
第一種金融商品取引業者
- 営業姿勢等
- 株式営業
- 債券営業
- 投信営業
- デリバティブ営業等
- 引受等営業
- PTS業務
- 電子金融商品取引業務
- 分別管理業務
- 内部管理
- 財産・経理
- 自己資本規制比率
- 特別金融商品取引業者の連結自己資本規制比率
- 最終指定親会社の連結自己資本規制比率
- 最終指定親会社の連結流動性カバレッジ比率
つまり、
- 自己資本比率
- 信託保全
- レバレッジ規制
- 顧客情報の管理
などがきちんと行われているかどうかを金融当局がチェックしているのです。
例えば、ニュージーランド金融市場庁(FMA)の場合
- 100万ドル以上もしくは平均収益の10%以上の正味固定資産
- コンプライアンス、規制、リスク管理を担当するマネージメントチーム
- 新規顧客に対する適切な基準
- リスクやディーリングポリシーに関する情報
- ヘッジ内部リスクの基準と顧客の証拠金レベルの取扱い
- 顧客資金の分別ルールと顧客口座情報の適切な記録保持
というルールがあります。日本の金融当局は、海外の金融監督庁よりも後発でルールを作ったので、監査ルールが似ているのは当然なのです。
世界の金融監督庁が見ているのは
- 十分な自己資本があるかどうか?
- 顧客資金の管理体制があるかどうか?
- コンプライアンスやリスク管理の体制があるかどうか?
- システムが問題なく稼働できる体制があるかどうか?
- 顧客へリスク情報の提供や注意喚起は行っているかどうか?
と大きな差はないのです。
金融庁が言っている
ですが
ことになります。
- 海外FX業者を選ぶ際には、少なくともどこかの国の金融ライセンスを持っていることが重要
- 監査基準が厳しい金融ライセンスを保有している海外FX業者の方が安全性は高い
のです。
当然、その選択をした海外FX業者(OANDA japanなど)もあります。
しかし、
ですから、
のです。
ハイレバレッジトレードができる海外FX業者の優位性がなくなってしまうのです。
そのため、世界各国で金融ライセンスを所得している世界展開している海外FX業者であっても、「日本では金融ライセンスを取得しない」という経営判断をしている業者は少なくないのです。
まとめ
海外FXで、FXトレードをしても、違法性はありません。
金融庁のウェブサイトで「海外FX業者は無登録業者なので注意が必要です。」と、当サイトで紹介している海外FX業者も掲載されていますが、日本の「金融商品取引業者」の登録をしていない業者というだけであって、危険な業者ということにはなりません。
なぜなら、日本の「金融商品取引業者」の登録をしていない海外FX業者であっても、他の国の金融ライセンスは保有しているからです。
金融ライセンスの監査のポイントは、世界各国で多少の違いはあれど、見ているポイントはそれほど変わらないからです。
安全な海外FX業者を選ぶポイントは
- 金融ライセンスを保有していること
- 親会社、グループ会社が金融ライセンスを保有していること
- 規模の大きい企業グループであること
- 日本人向けサービス歴が長いこと
などが挙げられます。
違法ではないものの、自己責任になるので安全性で海外FX業者を比較検討することをおすすめします。
「海外FXって違法じゃないの?法律的にはどうなっているの?」
・・・