海外FXをやりはじめたばかりの投資家にいただく質問にはこのようなものがあります。今回は、海外FX口座は複数業者で口座を持っておくべきなのか?一つの口座に頼るメリットデメリットを中心に解説します。
海外FX口座は複数業者で口座を持っておくべきですか?
まずは答えから
答えは
です。
その理由を解説します。
理由その1.システムリスクを回避するためには複数の海外FX業者の口座が必要
一般的にFX業者というのは
- FX専門の強固なデータセンターにサーバーを持つ
- 24時間監視をする
形で、トレード用のサーバーを設置しています。
しかし、何万人が秒単位でトレードをすることを想像してください。
どうしたって、システムトラブルというのは発生してしまうのです。
これは国内のFX業者でも、海外のFX業者でも同じことです。
国内FX業者のシステムトラブル
2013年6月7日 日経新聞「FX、取引急増でシステム障害 機会損失、利用者に不満も 」
今月7日、日本時間の午後9時30分。5月の米雇用統計が発表されると、円相場は1ドル=94円台後半から97円台後半まで大きく振れた。米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和策の行方を占ううえで、雇用統計への注目度は極めて高い。
ところが業界2位のDMM.com証券と3位のサイバーエージェントFXでは統計の発表後にシステム障害が発生。一部の利用者がログインできず、取引できなくなった。両社とも、この日は1日当たりの売買高が過去最高に膨らむほどアクセスが集中し、システムが対応しきれなくなったという。
サイバーエージェントでは午後10時ごろにシステムが復旧した。DMMが障害解消を報告したのは翌8日の午前0時すぎだった。
利用者が拡大している自動売買システムの「ミラートレーダー」でも、4月5日にログインしにくくなる不具合が発生。ミラートレーダーを導入するインヴァスト証券やセントラル短資FXなどの利用者に影響が出た。
- サイバーエージェントFX:30分取引ができない状態
- DMM.com証券:約3時間引ができない状態
- インヴァスト証券・セントラル短資FX:ログインしにくくなる状態
が続いてしまったということになります。
2015年7月13日「外為どっとコム」
本日(7/13)13:20頃~同日15:04頃の間、各チャネルに一時的にログインできなくなる事象が発生しました。
また本事象の解消のため、上記時間帯直後より同日21:52頃にかけて緊急メンテナンスを実施いたしました。
以上につきまして、お客様に多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを、深くお詫び申し上げます。
なお、現時点においては全チャネルへのログインが可能となっており、各種処理も正常になされております。
これは国内FX業者に限った話ではありません。
海外FX業者のシステムトラブル
2017年12月18日 TITAN FXニュース「システム障害について」
平素はTitan FXをご利用頂き、誠にありがとうございます。
本日、12月18日(月)、サーバー接続エラーにより一時的にお取引頂けなくなる不具合が生じました。先ほどシステムが復旧し、正常にお取引いただける状態となりましたので、ご報告申し上げます。
なお、ご利用のMT4バージョンが、Version: 4.00 Build:1010より低い場合は接続不可となりますので、お手数ですが、MT4を再起動しバージョンのアップデートを行なって頂きますようお願いします。
お客様におかれましては、多大なご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。
2016年11月11日 AXIORY「取引システムの障害について(確定報告)」
日頃より、AXIORY(アキシオリー)をご利用頂き誠にありがとうございます。
2016年11月11日 10:52~11:55(日本時間)の63分間、当社のサーバーシステムに一部障害が発生し、トレーディングを行うアプリケーション(MetaTrader4)にて、以下の取引上の不具合が発生したことをご報告いたします。
障害について
障害発生時間
2016年11月11日 10:52~11:55(日本時間) 約63分間
障害の現象
MetaTrader4プラットフォームにおいて
1, 注文の執行に非常に時間を要する
2, 注文の執行ができない
3, チャートが表示されない
4, ログインできない 等障害の要因
当社へプライスを提供する、Liquidity providers(リクイディティプロバイダー)が運営する、サーバーシステムの一部にシステム障害が発生し、当社のトレーディングシステムのサーバーとの通信切断が断続した為。
AXIORYも、TitanFXも、金融ライセンスを保有しており、日本人スタッフが在籍していて、5年以上日本在住の日本人へのサービス提供をしている海外FX業者の中では、安全な業者です。
そのような業者であっても、「取引システムの障害」は、避けられないものなのです。
ポジションを持っていなければ、トレードしなければ良いだけですが・・・
しかも、大抵はDMM.com証券とサイバーエージェントFXがシステム障害が出たときのように
のです。
つまり、
ということになります。
これを「システムリスク」と言います。
ということになります。
このときに仮に別の海外FX業者の口座を持っていれば、逆方向のポジションをもって、両建ての状態を作ることができます。カバーする反対のポジションを持っていれば、システム障害が発生して、為替レートが急変動しても、大きな損害を被ることはないのです。
レバレッジの違いがあります。
海外FX業者の口座で、10万円の証拠金で1000万円分のポジションを持っていた場合
国内FX業者の口座で、反対のポジションを持つには、40万円の証拠金が必要になります。
メイン口座でないサブの口座で、それだけの証拠金を用意するのは現実的ではないのです。
注意点
「システムリスクのヘッジ用」に複数の海外FX業者の口座開設をする場合には、サブの口座にもある程度の資金を入金していないと、急なシステム障害のときにすぐに反対のポジションを持つことができません。
海外FX業者の場合は、ハイレバレッジですのでそれほどの証拠金がなくても、ある程度の額のポジションを持つことはできますが、それでも一定額の入金はしておくことをおすすめします。
「システムリスクのヘッジ用」のサブ口座を作るなら
- スプレッドは広くても良い
- レバレッジは高い方が良い
- ロスカットレベルは低い方が良い
- 信託保全など安全性の高い海外FX業者が良い
ことになります。この点を重視して海外FX業者を比較しましょう。
また、海外FX業者の場合は、数カ月取引が1回もないと「休眠口座」として、口座が凍結されてしまう可能性があります。口座の凍結はサポートに問い合わせれば
解除してもらえますが、月1回はチェックするためにログイン、トレードすることを心がけましょう。
理由その2.海外FX業者のスプレッドや約定力は常にチェックしておくべき
海外FX業者というのは、多くの業者が「変動スプレッド」を採用しています。
「変動スプレッド」の困ったところは
- 急に広くなった。
- 急に狭くなった。
ということが起こりうるのです。
海外FX業者のスプレッドを比較していた「その時点」では、選んだ海外FX業者のスプレッドが一番狭かったかもしれませんが・・
時が立つと
ということが起こりうるのです。
これは、なぜかというと・・・
海外FX業者は、リクイディティプロバイダーが価格の提示を受けて、これに手数料分をマークアップ(上乗せ)して、顧客へ提示しています。
- リクイディティプロバイダーを変えた。
- マークアップ(上乗せ)する手数料を動かした。
ということで、スプレッドが動いてしまうのです。
スプレッドが動いたとしても、「変動スプレッド」ですから、ウェブサイトに表記されているスプレッドには変化がありません。
弊社の提供している「平均スプレッド」の測定システムがあれば
- 「去年よりも平均スプレッドが広がっている。」
- 「先月よりも平均スプレッドが広がっている。」
ということに気づけますが、そうでない場合は、「いつの間にかスプレッドが広がっている。」ことになってしまいます。
このような状況では
- 海外FX業者1社だと変化に気づきにくい
- 海外FX業者を複数社で口座開設し、トレードしていると変化に気づきやすい
のです。
また、これは「約定力」でも同じことになります。
海外FX業者の約定力を比較していた「その時点」では、選んだ海外FX業者の約定力が一番高かったかもしれませんが・・
時が立つと
ということが起こりうるのです。
これは、なぜかというと・・・
海外FX業者の約定力を左右するのは「サーバー」の能力です。
- サーバーのデータセンターを変えた。
- 以前よりも顧客が増えたから、サーバーの処理能力が下がった
ということで、約定力が落ちてしまう可能性があるのです。
約定力でも同じように
- 海外FX業者1社だと変化に気づきにくい
- 海外FX業者を複数社で口座開設し、トレードしていると変化に気づきやすい
のです。
理由その3.海外FXの業界動向をつかむためには複数の業者を利用すべき
「海外FXの業界動向に対する理解を深める」ために複数業者を利用すべきと考えます。
海外FX業者でトレードをしている投資家は
- ハイレバレッジトレードがしたい
- 追証がないトレードがしたい
- 透明性の高いトレードがしたい
- ボーナスを利用したトレードがしたい
というニーズでしょうから、今後も海外FX業者を利用し続けるはずです。
国内FX業者は、金融商品取引法が厳しくなることはあっても、緩くなることは考えにくいからです。
そうなると、海外FX業者、海外FXの業界に対して知識を深める必要があります。
複数の海外FX業者を利用すれば
- 複数の日本人スタッフとのコミュニケーションができる
- 違う海外FXニュースが配信される
- 新しい取引口座や取引プラットフォームの情報が届く
- 違ったボーナスやトレードコンテストを利用できる
- 海外FX業者の仕組みが比較することでわかってくる
・・・
のです。
筆者は、10社以上の海外FX業者を併用していますが
- CySECの取り締まりが強化されて、一斉に海外FX業者が拠点を別の国に動かしたり
- 1社が仮想通貨FXを導入すると、立て続けにほかの業者が仮想通貨FXを導入したり
- 仲の良い日本人スタッフに「○○という海外FX業者、出金拒否をやらかしたらしんですよ。」と情報をもらったり
- 海外FX業者に招待されて本社にあいさつに行ったり
・・・
複数の海外FX業者と付き合うからこそ、見えてくる業界の動きというものが必ずあります。
理由その4.海外FX業者は、業者によって使い勝手の良いコンテンツが豊富
海外FX業者の場合は、日本の国内FX業者のような「呑み取引(DD取引)」ではないため
が大きなミッションです。
そのため、海外FX業者は
- マーケットレポート
- ウェブセミナー
- トレードシグナル
- 経済指標カレンダー
- 動画
- 教育用コンテンツ
- テクニカル分析解説
- 経済ニュース
- 計算ツール
- イベント
- ソーシャルトレード
- ボーナス
- トレードコンテスト
- ECN口座
・・・
等、様々なトレードに関するコンテンツを用意しています。
まとめ
海外FX口座は複数業者で口座を持っておくべきですか?
の回答は
- 絶対に複数業者で口座開設をすべき
です。
なぜなら
- 理由その1.システムリスクを回避するためには複数の海外FX業者の口座が必要
- 理由その2.海外FX業者のスプレッドや約定力は常にチェックしておくべき
- 理由その3.海外FXの業界動向をつかむためには複数の業者を利用すべき
- 理由その4.海外FX業者は、業者によって使い勝手の良いコンテンツが豊富
という理由があるからです。